前回は、「アルツハイマー病の改善が期待できる食材」をお話させていただきました。
今回からは、“肝臓”に着目してそれぞれの疾患に関して書かせていただければと。
今回は『ウイルス性肝炎』に関してみていこうと思います。
【ウイルス性肝炎の改善が期待できる食材】
≪「ウイルス性肝炎」とは≫
主にウイルス感染によって肝臓に炎症が生じ、機能低下に陥る病気です。
1-3カ月程度で治るものを急性肝炎、6カ月以上炎症の続くものを慢性肝炎といい、急性肝炎全体の約1割が慢性化します。
ウイルスの種類にもよりますが、急性肝炎は安静と食事管理など適切な治療によって、発症から3カ月以内で治ります。
慢性肝炎では、治療を怠ると、肝細胞は徐々に機能を失い、黄疸や皮膚のかゆみなどの症状が現れ、さらに悪化すると、肝臓が硬くなり肝硬変に進んでしまいます。
肝炎ウイルスは、AからE形までありますが、B型やC型が有名かと。
ともに血液や体液を介して感染するという特徴があります。
感染力に関してはB型よりもC型の方が弱く、症状も軽いといわれています。
しかし、慢性肝炎から肝硬変に移行する確率が高く、急性肝炎のうち現在日本で最も多いのがC型肝炎です。
また、肝臓移植の最大の原因はC型肝炎といわれています。
もう少し補足を。
E型肝炎ウイルスは人畜共通感染症であり、動物からヒトへ感染する可能性があり、なかでも豚はE型肝炎ウイルスの最大の保有宿主です。
家庭で豚肉を調理する場合は、食肉用の温度計を購入して適切に調理し、漂白剤溶液でキッチンの表面を拭くなど、衛生管理も徹底する必要があります。
ウイルス性肝炎は、最悪の場合、肝硬変から肝臓がんに進行してしまいます。
ですが、肝臓がんはもっとも予防しやすいがんのひとつであり、B型肝炎のワクチン接種を受け、C型肝炎の感染を防ぐ措置を取り、アルコール摂取量を控えるのが効果的ですので、悲観せずに生活習慣の改善に取り組んでいきましょう。
≪食事の基本≫
食事は栄養状態が悪化している場合を除いて、一日の栄養所要量を守った栄養バランスのよいメニューにしましょう。
エネルギーが不足すると肝機能の回復が遅れますが、とりすぎても脂肪が肝臓に溜まって回復が遅れてしまいます。
急性肝炎の発症初期(発熱や吐き気がある場合は流動食やおかゆ)や慢性肝炎では1日2000キロカロリー、急性肝炎の回復期には2300-2500キロカロリーが目安となります。
脂肪は肝臓に負担をかけるため、特に発症初期や黄疸が出ている時は、脂肪の多い加工食品や揚げ物は控えましょう。
タンパク質は破壊された細胞を修復するために重要な栄養素となります。
ですので、良質なタンパク質(卵、白身魚、鶏肉、赤身肉、大豆や納豆・豆腐、シジミ、牛乳、チーズなど)を不足しないように摂り入れることも大切です。
食欲不振や腹痛など消化器症状が出やすいので、消化のよいメニューを心掛けましょう。
ビタミンやミネラルも肝臓の再生に不可欠な栄養素ですので、お忘れなく。
三食をきちんと決まった時間にとり、夕食は就寝の3-4時間前に済ませるようにすることも大切です。
過剰な鉄摂取は、活性酸素による酸化ストレスを増強し、肝細胞壊死が増加したり、肝臓内のマクロファージ(貪食細胞)などに鉄がたまり、炎症性サイトカイン(生物活性因子)が産生して繊維化が進み、肝硬変への進展が早くなるので、低鉄食(1日7g以下)が推奨されています。
特にC型肝炎ウイルスがきっかけとなる場合は、レバーや豆類、小魚介類、海藻類、小松菜・ほうれん草などは控えた方がよいという報告もあります。
栄養のバランスがとれた食事と規則正しい食生活を続けることは、病気の治療だけでなく、肝臓を日頃から健康な状態に保つためにも大切なことです。
もちろん禁酒して肝臓を休めることも肝要ですよ。
[肝臓を守る朝食]
1日のはじめにボウル1杯のオートミールとコーヒーの朝食を摂れば、肝機能の保護に役立ちます。
オートミール
ある実験で、全粒穀物は慢性疾患を予防する効果が高いことがわかりました。
また、2014年のある調査では、全粒穀物には、非アルコール性脂肪肝疾患の患者たちの肝炎リスクを減少させる保護効果があることも確認されております。
加えて、精製された穀物の摂取はかえって病気のリスクを高めることもわかりました。
コーヒー
コーヒーの摂取は肝臓炎症の緩和と関連性があります。
アメリカの実験で、コーヒーを1日2杯以上飲む人たちは、1日1杯以下の人たちに比べて、慢性の肝臓疾患を発症するリスクが半分以下だったとのこと。
また2013年のレビューによると、コーヒーの摂取量がもっとも多い人たちは、もっとも少ない人たちに比べて、肝臓がんのリスクが半分だとわかりました。
同じく2013年に発表された研究では、コーヒーの摂取にはDNAの損傷を減らし、ウイルスに感染した細胞の除去を促進し、瘢痕の形成を遅らせる効果があることがわかりました。
すなわち、コーヒーには肝臓疾患の進行リスクを低減させる効果があることがわかりますね。
≪効果が期待できる野菜類≫
[ビタミンCの多いもの]
抗ウイルス作用があるので、ウイルス性肝炎を予防し、回復にも有効です。
ピーマン(特に赤・黄ピーマン)、芽キャベツ、ほうれん草、ブロッコリー、京菜、カブの葉、シシトウ、カリフラワー、ニガウリ、サヤエンドウなどが多く含んでいます。
枝豆はタンパク質も多く、オススメです。
一般にビタミンCは調理によって失われやすいのだが、ピーマンやジャガイモは加熱による損失が少なく、ピーマンは3個、ジャガイモは2個で、一日に必要なビタミンCが摂れます。
[グルタチオンを含むもの]
肝臓の解毒機能を促し、過酸化脂質の生成抑制や分解に働いて肝機能を改善します。
ブロッコリー、ほうれん草、タマネギなどに含まれています。
[アントシアニンの多いもの]
青紫色の色素でポリフェノールの一種です。
強い抗酸化作用があり、肝臓の機能を回復、向上させてくれます。
ナス、赤ジソ、紫芋、紫キャベツなどに多く含まれています。
≪効果的な食べ方≫
ビタミンCは失われやすいビタミンですので、水洗いは手早く、茹でたらさっと水で冷ます、長く水につけないなどの工夫をしましょう。
鮮度のよいものを選び、なるべく早く食べることも大切です。
≪オススメ食材≫
ここまで、さまざまな食材が出てきて混乱してしまうかと思いますので、あいうえお順でよりオススメの食材を羅列しておきますので、参考までに!
・ニガウリ
・ブロッコリー
・ほうれん草
≪ヘルスメガネマン的オススメ食材≫
ここで、僕がこれまでの内容から独断と偏見で、オススメの食材を厳選してみましたので、気が向いた方がいましたら、参考にしてみてください。
第1位:ブロッコリー、ほうれん草
第2位:タマネギ、ピーマン、ナス、ニガウリ
第3位:コーヒー
ここで、僕もよく食べている1品を紹介します。
「ブロッコリーとゴーヤのツナサラダ」です。
ブロッコリーは一口サイズに切って茹でます。
ゴーヤは薄切りにします。
ブロッコリー、ゴーヤ、ツナ缶を混ぜ合わせます。
最後に塩昆布をお好みの量加えて出来上がりです。
興味のある方は是非御堪能あれ。
【まとめ】
・食事は栄養状態が悪化している場合を除いて、一日の栄養所要量を守った栄養バランスのよいメニューにする
・急性肝炎の発症初期(発熱や吐き気がある場合は流動食やおかゆ)や慢性肝炎では1日2000キロカロリー、急性肝炎の回復期には2300-2500キロカロリーが目安
・タンパク質は破壊された細胞を修復するために重要な栄養素
・過剰な鉄摂取は、活性酸素による酸化ストレスを増強し、肝細胞壊死が増加したり、肝臓内のマクロファージなどに鉄がたまり、炎症性サイトカインが産生して繊維化が進み、肝硬変への進展が早くなる
・栄養のバランスがとれた食事と規則正しい食生活を続けることは、病気の治療だけでなく、肝臓を日頃から健康な状態に保つためにも大切
・禁酒して肝臓を休める
・1日のはじめにボウル1杯のオートミールとコーヒーの朝食を摂れば、肝機能の保護に役立つ
・全粒穀物は慢性疾患を予防する効果が高い
・精製された穀物の摂取はかえって病気のリスクを高める
・コーヒーには肝臓疾患の進行リスクを低減させる効果がある
【クイズ】
Q1:食物からの感染が最も考えられる肝炎ウイルスとして適しているものは以下のうちどれか。
①B型肝炎ウイルス ②C型肝炎ウイルス ③E型肝炎ウイルス
Q2:慢性疾患を予防する効果の高い食材として適しているものは以下のうちどれか。
①白米 ②オートミール ③パン
Q3:肝臓の炎症緩和に効果のある飲み物として適切なものは以下のうちどれか。
①紅茶 ②コーヒー ③コーラ
回答
Q1の正解:③
E型肝炎ウイルスは人畜共通感染症であり、動物からヒトへ感染する可能性があり、なかでも豚はE型肝炎ウイルスの最大の保有宿主です
家庭で豚肉を調理する場合は、食肉用の温度計を購入して適切に調理し、漂白剤溶液でキッチンの表面を拭くなど、衛生管理を徹底しましょう
Q2の正解:②
全粒穀物は慢性疾患を予防する効果が高いことがわかっています
逆に、精製された穀物の摂取は病気のリスクを高めてしまうこともわかっています
Q3の正解:②
コーヒーですね
コーヒーの摂取は肝臓炎症の緩和と関連性があることがわかっています
今回は、『ウイルス性肝炎の改善が期待できる食材』に関して簡単にまとめてみました。
次回は、『肝硬変』に対する食事法を簡単にまとめていこうかと思います。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
【参考文献】
『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著
『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著
スティーヴン・J・シンプソン著
『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著
『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著
『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著
『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著
『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著
『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著
『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著
『この病気にはこの野菜』斎藤 嘉美監修
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