前回は、「乳がんの改善が期待できる食材」をお話させていただきました。
今回は『前立腺がん』に関してみていこうと思います。
〖今回のポイント〗
前立腺がんとは
・男性に発生するがんで、50歳以降、特に65歳以上の高齢者に多い
・病因としては性ホルモンのバランスの変化があげられ、前立腺肥大症と合併するケースもある
・食生活の欧米化(動物性脂肪・赤身肉・乳製品の摂取過多と野菜の摂取不足)も関係
・IGF-1は前立腺がんにおいて腫瘍の成長と遠隔転移に寄与する可能性が指摘されている
・血液中のIGF-1値を下げるには、菜食中心の食事によって血液の防御能力を高めるというよりも、動物性タンパク質の摂取量を減らすことが重要
前立腺肥大
・フラックスシードはBPHの治療に有効
・にんにくとたまねぎの摂取には、BPHのリスクを大幅に下げる効果がある
食事の基本
・肉類や乳製品を控えて動物性脂肪の摂取を減らし、野菜を多く摂る
・イソフラボンやリコピンが予防には有効
・牛乳、低脂肪乳、チーズなどの酪農製品の大量摂取は、前立腺がんのリスクを全体的に高める原因になる
・牛乳の摂取量が多いほど、男女ともに死亡率が高くなり、女性の場合は骨折が増える
・卵に含まれるコリンは、赤身肉に含まれるカルニチンと同様に、肉を食べる人の腸内細菌によってトリメチルアミンという毒素に変換されてしまう
;このトリメチルアミンが肝臓で酸化されると、心臓発作、脳卒中、早期死亡のリスクが高くなる
効果が期待できる野菜類
・イソフラボンを含むもの
・リコピンの多いもの
・ビタミンEの多いもの
・ケルセチンの多いもの
・セレンの多いもの
・アブラナ科の野菜
・フラックスシード
効果的な食べ方
・トマトは生だけでなく、さまざまな料理に利用して充分摂取する
・トマトは加熱加工により、リコピンを含む細胞が壊れて吸収が容易になる
・リコピンは油に溶けやすく、熱に対して安定していることから、炒め物やシチューなどの調理によって、さらに吸収利用率が高まる
オススメ食材
・カボチャ、大豆、タマネギ、白菜、ブロッコリー
【前立腺がんの改善が期待できる食材】
≪「前立腺がん」とは≫
男性に発生するがんで、欧米に比べ日本では多くなかったものの、近年増加傾向にあります。
50歳以降、特に65歳以上の高齢者に多くみられます。
初期はまったく症状のないことが多く、排尿困難、頻尿、残尿感など排尿障害が出るのはかなり進行してからになります。
病因としては性ホルモンのバランスの変化があげられ、前立腺肥大症と合併するケースもあります。
また、食生活の欧米化(動物性脂肪・赤身肉・乳製品の摂取過多と野菜の摂取不足)も関係していると考えられています。
[IGF-1]
ここで「IGF-1」について少し書かせていただきますね。
IGF-1は前立腺がんにおいて腫瘍の成長と遠隔転移に寄与する可能性が指摘されています。
そんなIGF-1の分泌は、動物性タンパク質によって引き起こされます。
菜食中心の食事に切り替えると、ほんの数週間で血液の抗がん能力が向上するのは、動物性タンパク質の摂取がなくなるせいではないかと考えられております。
ですので、血液中のIGF-1値を下げるには、菜食中心の食事によって血液の防御能力を高めるというよりも、動物性タンパク質の摂取量を減らすことが重要になってきます。
≪前立腺肥大≫
前立腺肥大についても簡単に触れさせていただければと。
研究によって、フラックスシードはBPHの治療に有効であることがわかっています。
また、にんにくとたまねぎの摂取には、BPHのリスクを大幅に下げる効果があることがわかりました。
調理法としては、生野菜よりも加熱した野菜のほうが効果は高く、加えて豆類もリスクを下げる効果があります。
≪食事の基本≫
肉類や乳製品を控えて動物性脂肪の摂取を減らし、野菜を多く摂るようにしましょう。
イソフラボンやリコピンが予防には有効といわれています。
前立腺がんの進行と死亡率に関する研究データによれば、最悪なのは卵と鶏肉なんだとか。
前立腺がんに着目した場合には、なるべく摂取量は控えた方がいいかもしれませんね。
前立腺がんに関して、運動だけでも大きな効果があるが、最終的には、ジムで何千時間もトレーニングを積んでも、菜食中心の食生活がもたらす効果には及ばないことがわかっていますので、食事を大切にしていきましょう。
[牛乳と前立腺がん]
実験的証拠によって、乳製品は、前がん病変や変異細胞が浸潤がんへと変化するのを促進することがわかっています。
2015年のメタ分析では、牛乳、低脂肪乳、チーズなどの酪農製品の大量摂取は、前立腺がんのリスクを全体的に高める原因になることが明らかになりました。
大規模な集団調査の結果、女性の場合は1日当たりの牛乳摂取量が多いほど、骨折や股関節骨折のリスクが上昇するだけでなく、早期死亡、心臓病、がんのリスクが高くなることがわかりました。
加えて、1日3杯飲んでいる場合は、早期死亡のリスクが2倍近くも高くなっていたこともわかっています。
対して男性の場合は、1日当たりの牛乳摂取量が多いほど、やはり早期死亡のリスクが高くなりますが、骨折率への影響は見られなかったとのこと。
全体的な結果としては、牛乳の摂取量が多いほど、男女ともに死亡率が高くなり、女性の場合は骨折が増えるということになりますね。
思春期から牛乳をたくさん飲んで、最大骨量を高くしようと思っても、将来の骨折のリスクが減ることはないという結果が出てしまっているため、「骨量を増やす」という目的での牛乳の摂取はあまりオススメではないかもしれませんね。
[卵・鶏肉と前立腺がん]
先程、「卵」「鶏肉」は前立腺がんに対しては大敵だとお伝えしました。
実際に、鶏肉やターキーをよく食べている人たちは、前立腺がんの進行リスクが4倍も高くなることがわかったとのこと。
また卵の摂取で、がん浸潤のリスクが上昇するのはコリンのせいではないかと考えられています。
血液中のコリン濃度が高いと、前立腺がんのリスクが高くなることがわかっているためです。
卵に含まれるコリンは、赤身肉に含まれるカルニチンと同様に、肉を食べる人の腸内細菌によってトリメチルアミンという毒素に変換されてしまいます。
このトリメチルアミンが肝臓で酸化されると、心臓発作、脳卒中、早期死亡のリスクが高くなることがわかっています。
≪効果が期待できる野菜類≫
[イソフラボンを含むもの]
イソフラボンは、女性ホルモンのバランスを整え、前立腺がんの予防にも効果的と考えられています。
また、がんが増殖するために作り出す新生血管を阻害する働きも報告されています。
大豆と大豆加工品(特にきな粉・納豆・凍り豆腐)に含まれているので、手軽に摂取できます。
アレルギー疾患をもつ人が、通常の食事でとる以上にサプリメントなどで大量摂取することは、避けた方がよいとされています。
[リコピンの多いもの]
β-カロテンの約2倍という強力な抗酸化力をもつリコピン(カロテノイド)も予防に有効とされています。
リコピンはトマトを筆頭に、スイカ、柿などに含まれる赤い色素成分です。
加工品などに用いられる赤系トマトは、生食用のピンク系トマトよりも、リコピンを3倍ほど多く含有しています。
[ビタミンEの多いもの]
ビタミンEは抗酸化作用があり、前立腺がんのリスクを30-40%減少させるという報告があります。
特に喫煙者でより効果があるようです。
カボチャ、モロヘイヤ、ブロッコリー、大豆などに多く含まれています。
[ケルセチンの多いもの]
ケルセチン抗酸化物質であるフラボノイドの一種で、近年、前立腺がんに効く可能性があることが報告されました。
タマネギ、キヌサヤ、アスパラガスなどに多く含まれています。
[セレンを含むもの]
ミネラルの一種。
過酸化脂質を分解して活性酸素の害から細胞膜や生体膜を守り、発がん抑制作用が認められています。
過酸化脂質の生成を防ぐビタミンE(野菜ではカボチャ、モロヘイヤ、ブロッコリー、大豆などに多い)と一緒に働くと、効果は倍増します。
野菜では特にネギに多く、キュウリ、白菜、タマネギ、ブロッコリーなどにも含まれます。
[アブラナ科の野菜]
ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、白菜などには抗酸化酵素を誘導する物質が存在し、前立腺がん初期に最も有効であることが報告されています。
なにかひとつ体によい食べ物を食事に加えたいのなら、アブラナ科の野菜がオススメ。
1日に1食分以下であっても、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、ケールなどを摂れば、がんの進行リスクは50%以上も低減すると。
[フラックスシード(亜麻仁)]
リグナンも代表的なフィトエストロゲンの一種で、植物に広く含まれているが、とくにフラックスシードに多く含まれています。
前立腺液中のリグナン濃度が高い人たちは、前立腺がんの罹患率が比較的低い傾向があることがわかっています。
つまり、フラックスシードには、前立腺がんの発病への進行を防ぐ効果があるというわけですね。
フラックスシードは安全かつ安価な栄養源であり、腫瘍増殖率を低減する効果がありますので、積極的に摂取した食材になります。
ここで1つ注意点を。
粉末のフラックスシードではなく種状のものを買った場合は、必ず粉状に挽いてから摂るようにしましょう。
さもないと、消化されずに体内を通過してしまいますのでね。
≪効果的な食べ方≫
トマトは生だけでなく、さまざまな料理に利用して充分摂取するようにしましょう。
普通の食事1回分のリコピン量は、スパゲティソースとトマトジュースが最大らしいです。
トマトは加熱加工により、リコピンを含む細胞が壊れて吸収が容易になります。
また、リコピンは油に溶けやすく、熱に対して安定していることから、炒め物やシチューなどの調理によって、さらに吸収利用率が高まります。
≪オススメ食材≫
ここまで、さまざまな食材が出てきて混乱してしまうかと思いますので、あいうえお順でよりオススメの食材を羅列しておきますので、参考までに!
・カボチャ
・大豆
・タマネギ
・白菜
・ブロッコリー
≪ヘルスメガネマン的オススメ食材≫
ここで、僕がこれまでの内容から独断と偏見で、オススメの食材を厳選してみましたので、気が向いた方がいましたら、参考にしてみてください。
第1位:カボチャ
第2位:大豆・大豆加工品
第3位:ブロッコリー、タマネギ
ここで、僕もよく食べている1品を紹介します。
「ガツンと夏野菜炒め」です。
カボチャ・ナス・ズッキーニ・ミニトマトをひと口大に切ります。
フライパンにオリーブオイルと多めのニンニクを入れて、オイルに香りづけします。
風味がたってきたところで、先程切ったミニトマト以外の野菜を炒めます。
しっかり火が通ったら、ミニトマトを加えて軽く火を通します。
最後に醤油で味を整えたら完成です。
僕は、この上からミックスバジルを少々振りかけて食べています。
興味のある方は是非御堪能あれ。
【まとめ】
前立腺がんとは
・男性に発生するがんで、50歳以降、特に65歳以上の高齢者に多い
・病因としては性ホルモンのバランスの変化があげられ、前立腺肥大症と合併するケースもある
・食生活の欧米化(動物性脂肪・赤身肉・乳製品の摂取過多と野菜の摂取不足)も関係
・IGF-1は前立腺がんにおいて腫瘍の成長と遠隔転移に寄与する可能性が指摘されている
・血液中のIGF-1値を下げるには、菜食中心の食事によって血液の防御能力を高めるというよりも、動物性タンパク質の摂取量を減らすことが重要
前立腺肥大
・フラックスシードはBPHの治療に有効
・にんにくとたまねぎの摂取には、BPHのリスクを大幅に下げる効果がある
食事の基本
・肉類や乳製品を控えて動物性脂肪の摂取を減らし、野菜を多く摂る
・イソフラボンやリコピンが予防には有効
・牛乳、低脂肪乳、チーズなどの酪農製品の大量摂取は、前立腺がんのリスクを全体的に高める原因になる
・牛乳の摂取量が多いほど、男女ともに死亡率が高くなり、女性の場合は骨折が増える
・卵に含まれるコリンは、赤身肉に含まれるカルニチンと同様に、肉を食べる人の腸内細菌によってトリメチルアミンという毒素に変換されてしまう
;このトリメチルアミンが肝臓で酸化されると、心臓発作、脳卒中、早期死亡のリスクが高くなる
効果が期待できる野菜類
・イソフラボンを含むもの
・リコピンの多いもの
・ビタミンEの多いもの
・ケルセチンの多いもの
・セレンの多いもの
・アブラナ科の野菜
・フラックスシード
効果的な食べ方
・トマトは生だけでなく、さまざまな料理に利用して充分摂取する
・トマトは加熱加工により、リコピンを含む細胞が壊れて吸収が容易になる
・リコピンは油に溶けやすく、熱に対して安定していることから、炒め物やシチューなどの調理によって、さらに吸収利用率が高まる
オススメ食材
・カボチャ、大豆、タマネギ、白菜、ブロッコリー
【クイズ】
Q1:前立腺がんや前立腺肥大は女性に多い疾患である。〇か×か。
Q2:前立腺がんのリスク上昇を招く食材として最も適しているのは以下のうちどれか。
①果物 ②野菜 ③赤身肉
Q3:前立腺がんにとって大敵な食材として誤っているものは以下のうちどれか。
①卵 ②大豆 ③鶏肉
回答
Q1の正解:×
前立腺は男性にしかありませんね
男性に発生するがんで、50歳以降、特に65歳以上の高齢者に多いです
病因としては性ホルモンのバランスの変化があげられ、前立腺肥大症と合併するケースもあります
Q2の正解:③
食生活の欧米化(動物性脂肪・赤身肉・乳製品の摂取過多と野菜の摂取不足)が関係
Q3の正解:②
「卵」と「鶏肉」ですね
肉類や乳製品を控えて動物性脂肪の摂取を減らし、野菜を多く摂りましょう
イソフラボンやリコピンが予防には有効です
今回は、『前立腺がんの改善が期待できる食材』に関して簡単にまとめてみました。
次回は、『メンタル改善』に対する食事法を簡単にまとめていこうかと思います。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
【参考文献】
『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著
『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著
スティーヴン・J・シンプソン著
『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著
『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著
『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著
『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著
『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著
『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著
『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著
『この病気にはこの野菜』斎藤 嘉美監修
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