前回は、「胃がんの改善が期待できる食材」をお話させていただきました。
今回は『大腸がん』に関してみていこうと思います。
〖今回のポイント〗
大腸がんとは
・肉や乳製品などの動物性食品の多食(特に脂肪の摂り過ぎ)、食物繊維の摂取不足(便秘)、大腸ポリープなどが危険因子
;動物性脂肪の過多により、胆汁と腸内細菌が作用しあってがんを発生させること、食物繊維の摂取量が相対的に減少して排便を滞らせることが原因
食事の基本
・肉や乳製品、脂肪を控え、特に食物繊維を積極的に摂取する
・食物繊維、β-カロテン、ビタミンCの多い野菜や、リンゴなどの果物、海藻類、キノコ類などを幅広くとることがポイント
・魚ではイワシやキビナゴは、カルシウムとビタミンDが両方多く含まれているので効果的
・肥満や飲酒、便秘は、大腸がんのリスクを高めるので注意
・大腸がんのリスクは、肉と野菜を食べる割合によって決まる
;ただ肉を食べる量を減らすだけではなく、野菜を食べる量を増やさなければ効果は得られない
効果の期待できる野菜類
・食物繊維の多いもの
・β-カロテンの多いもの
・ビタミンCの多いもの
・カルシウムの多いもの
・ビタミンDを含むもの
・フラボノイドを含むもの
・葉酸の多いもの
・その他;しょうが、たまねぎ
・ターメリック
・フィチン酸
効果的な食べ方
・食物繊維には大別して水溶性と不溶性があるが、共に大腸がんを防ぐ効果がある
・1食分10g(成人の1日の目標摂取量は20-25g)を目安に、野菜や豆類、キノコ・海藻類、果物などを組み合わせて多種類の食物繊維を摂ることがポイント
・葉酸は加熱で失われやすいので生野菜として摂るのが望ましく、ビタミンB1(豆類など)は葉酸の吸収を増し、ビタミンCは葉酸代謝を盛んにするので、3つを一緒に摂るとよい
・1日に半カップ相当量のブロッコリーを余計に食べると、結腸がん予防の助けとなるという報告もある
オススメ食材
・アスパラガス、枝豆、オクラ、カリフラワー、ごぼう、小松菜、昆布、サツマイモ、里芋、さやいんげん、さやえんどう、椎茸、春菊、大豆、筍、チンゲン菜、トウモロコシ、にんじん、ピーマン、ブロッコリー、ほうれん草、舞茸、モロヘイヤ、レンコン、わかめ
【大腸がんの改善が期待できる食材】
≪「大腸がん」とは≫
発生部位は直腸とS状結腸が多く、この場合は主として出血や下痢・便秘などの便通の変化・異常などがみられます。
肉や乳製品などの動物性食品の多食(特に脂肪の摂り過ぎ)、食物繊維の摂取不足(便秘)、大腸ポリープなどが危険因子とされます。
動物性脂肪の過多により、胆汁と腸内細菌が作用しあってがんを発生させること、食物繊維の摂取量が相対的に減少して排便を滞らせることが原因といえる。
以前から何度も書かせていただいておりますが、肉の摂取はがんや心臓病の死亡リスクを高め、全体的に寿命を短くします。
この可能性のひとつに、おもに血液や筋肉に含まれるヘム鉄があげられます。
鉄は酸化促進作用によって発がん性のある活性酸素やフリーラジカルを発生させる可能性があるからですね。
当たり前のことですが、大腸がんを発見するには定期検査を受けることがたしかに望ましいですが、それよりも大腸がんにならないように予防したほうがよいのは明らかですよね。
≪食事の基本≫
まず、肉や乳製品、脂肪を控え、特に食物繊維を積極的に摂取するようにしましょう。
食物繊維、β-カロテン、ビタミンCの多い野菜や、リンゴなどの果物、海藻類、キノコ類などを幅広くとることがポイントになります。
魚ではイワシやキビナゴは、カルシウムとビタミンDが両方多く含まれているので効果的です。
肥満や飲酒、便秘は、大腸がんのリスクを高めるので注意する必要があります。
結腸がんのリスクは、肉と野菜を食べる割合によって決まると言われています。
ですので、ただ肉を食べる量を減らすだけではなく、野菜を食べる量を増やさなければ効果は得られないと考えるべきです。
肉を摂取しないと鉄分が不足するのではないかと心配されるであろう方に。
もっとも健康的な鉄の摂取源は、全粒穀物、豆類、ナッツ、種子類、ドライフルーツ、緑色葉物野菜などになります。
ですので、上記の食材でしっかり摂取しましょう。
また、鉄の吸収に関してですが、お茶は鉄の吸収を妨げる可能性があるため、食事のときはお茶を飲まないほうがよいです。
逆に、ビタミンCを豊富に含む食物を摂れば、鉄吸収が促進されます。
≪効果が期待できる野菜類≫
[食物繊維の多いもの]
食物繊維は、便の量を増やして発がん物質の濃度を薄め、排便を促して発がん物質が腸内にとどまる時間を短縮します。
また、腸内細菌のバランスを整えたり、大腸がんの発生に関係の深い胆汁酸を吸着して体外に排泄させる作用もあります。
モロヘイヤ、ゴボウ、オクラ、カボチャ、ブロッコリー、カリフラワー、トウモロコシ、春菊、京菜、ほうれん草、筍、ネギ、ニンジン、サツマイモ、里芋、ピーマン、ナスやインゲン豆・そら豆・ひよこ豆・大豆・小豆・枝豆・ささげ・さやえんどうなどの豆類、ひじき・わかめ・昆布などの海藻類、キクラゲ・干しシイタケなどのキノコ類に多く含まれています。
[β-カロテンの多いもの]
カロテノイドの抗腫瘍効果が大腸がんの予防につながることが報告されています。
β-カロテンは、シソ、モロヘイヤ、ニンジン、春菊、ほうれん草、カボチャ、小松菜、アシタバ、チンゲン菜、大根葉、ニラ、ブロッコリーなど緑黄色野菜に多く含まれています。
[ビタミンCの多いもの]
ビタミンCは、発がん物質(特に発がん性の高いニトロソアミン)が体内で生成するのを抑えて、がんを予防します。
ピーマン(特に赤・黄ピーマン)、芽キャベツ、ほうれん草、ブロッコリー、京菜、カブの葉、カリフラワー、ニガウリ、サヤエンドウなどが多く含んでいます。
一般にビタミンCは調理によって失われやすいが、ピーマンやジャガイモは加熱による損失が少なく、ピーマンは3個、ジャガイモは2個で、一日に必要なビタミンCが摂れる優秀な食材です。
[カルシウムの多いもの]
胆汁酸や脂肪酸と結合して排泄されることにより、がんを抑制するといわれています。
ひじき、昆布などの海藻類やキクラゲのほか、小松菜、モロヘイヤ、大根葉、カブの葉、京菜、ツマミ菜、広島菜、からし菜、野沢菜、春菊、チンゲン菜などの青菜・緑黄色野菜や、豆類に多く含まれています。
[ビタミンDを含むもの]
ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収を促進するので、不足するとカルシウムによる脂肪酸・胆汁酸の不活性化が阻害されます。
主に魚に多く、干し(特に天日干しの)キクラゲ・シイタケ・舞茸にも含まれています。
[フラボノイドを含むもの]
フラボノイドは、タマネギ、ニンニク、ブロッコリー、アスパラガス、大根、大豆などに含まれる淡黄色や白・褐色の色素で、微量で発がん物質の活性化を阻害する働きがあるといわれています。
[葉酸の多いもの]
アルコールなど他の危険因子があるときに予防的に働きます。
葉酸が働くためには、他のビタミンも不足しないことが大切になります。
ほうれん草、春菊、京菜、モロヘイヤ、芽キャベツ、ブロッコリー、アスパラガス、枝豆などに豊富で、多めに摂りたいビタミンといえます。
[その他]
ショウガの辛味成分の1つ、ジンゲロールに大腸がんを抑える作用のあることが報告されています。
脂肪は酸化し過酸化脂質になって細胞を傷つけますが、ジンゲロールにはこの酸化を防ぐ作用があります。
タマネギの硫黄を含む成分(含硫有機化合物)は、硝酸塩が亜硝酸塩(発がん物質)に転換するのを減少させることにより、有効と考えられます。
辛みの強いものを1日2/5個(約80g)以上食べるとよいみたいです。
[ターメリック]
前回の胃がんの時と同様、また「ターメリック」の登場です。
以下にターメリックの研究結果をお示ししますね。
喫煙者たちを対象とした研究で、クルクミンの摂取は、大腸の内膜にできた異常な腺を最大40%近く減らせることがわかりました。
またある研究では、大腸がんの遺伝型をもつ患者たちが、クルクミンおよびケルセチンを6カ月摂取したところ、ポリープの数と大きさが半分以下になったことが確認されました。
またまた15名の進行大腸がんの患者たちに対するターメリック投与の試験で、2か月から4カ月におよぶ治療の結果、1/3の患者、すなわち15名中5名には、大腸がんの進行を妨げる効果が見られました。
このような結果から分かるように、大腸がんに対して「予防から改善まで」効果のあるものになります。
ターメリック様様ですね。
[フィチン酸]
フィチン酸は、リン酸化合物の一種でビタミンBの仲間です。
米ぬかや小麦などの穀類、インゲン豆などの豆類に多く含まれています。
フィチン酸にはさまざまな健康効果が示されています。
体内に余分な鉄が蓄積すると、ヒドロキシル・ラジカルというきわめて有害な活性酸素が発生する恐れがあるが、フィチン酸には余分な鉄を無毒化する作用があると。
また人間を対象にした実験で、食事によってフィチン酸を多く摂った人たちのほうが、骨ミネラル濃度が高く、骨量の減少も少なく、股関節の骨折も少なかったとのこと。
また今回の目玉である大腸がんの予防に効果があると考えられています。
米国国立がん研究所によるポリープ予防試験では、1日に豆を食べる量を1/4カップ増やしただけで、前がん状態の大腸ポリープの再発率が、最大65%も下がったことが明らかになりました。
フィチン酸の効果を列挙してみましょう。
・抗酸化活性、抗炎症活性、免疫増強活性を組み合わせて、がん細胞を攻撃する
➝がん細胞に直接的に作用するほか、免疫細胞であるナチュラルキラー細胞の活性を高める
・身体防御の最後の砦として、腫瘍への血液供給を妨げる働きもある
・腫瘍への既存の供給ラインを遮断する働きがある
・がん細胞を正常な状態に戻す-言い換えれば、がん細胞特有の働きを止めてしまう効果がある
・心臓病、糖尿病、腎臓結石になる確率を下げる効果がある
≪効果的な食べ方≫
食物繊維には大別して水溶性と不溶性がありますが、共に大腸がんを防ぐ効果があります。
1食分10g(成人の1日の目標摂取量は20-25g)を目安に、野菜や豆類、キノコ・海藻類、果物などを組み合わせて多種類の食物繊維を摂ることがポイントになります。
野菜は加熱調理した方がたくさん食べられます。
具だくさんのけんちん汁や、食物繊維たっぷりの食材7種類くらいを多めに入れた混ぜご飯も効果的です。
葉酸は加熱で失われやすいので生野菜として摂るのが望ましく、ビタミンB1(豆類など)は葉酸の吸収を増し、ビタミンCは葉酸代謝を盛んにするので、3つを一緒に摂るとよいでしょう。
1日に半カップ相当量のブロッコリーを余計に食べると、結腸がん予防の助けとなるという報告もあります。
≪オススメ食材≫
ここまで、さまざまな食材が出てきて混乱してしまうかと思いますので、あいうえお順でよりオススメの食材を羅列しておきますので、参考までに!
・アスパラガス
・枝豆
・オクラ
・カリフラワー
・ごぼう
・小松菜
・昆布
・サツマイモ
・里芋
・さやいんげん
・さやえんどう
・椎茸
・春菊
・大豆
・筍
・チンゲン菜
・トウモロコシ
・にんじん
・ピーマン
・ブロッコリー
・ほうれん草
・舞茸
・モロヘイヤ
・レンコン
・わかめ
≪ヘルスメガネマン的オススメ食材≫
ここで、僕がこれまでの内容から独断と偏見で、オススメの食材を厳選してみましたので、気が向いた方がいましたら、参考にしてみてください。
第1位:ブロッコリー
第2位:ネギ属の野菜
第3位:海藻類、キノコ類
ここで、僕もよく食べている1品を紹介します。
「きのこけんちん汁」です。
木綿豆腐をキッチンペーパーに包んで水切りします。
大根、にんじんはいちょう切りにし、里芋はひと口大に切ります。
ごぼうはささがきにします。
こんにゃくは手でちぎります。
椎茸と舞茸もひと口大に切ります。
鍋にごま油を入れて、上記の豆腐ときのこ以外の食材を炒めます。
だし汁を入れて火が通るまで煮ます。
豆腐をひと口大にちぎって、きのこと一緒に鍋に入れ、ひと煮します。
椀に盛り、最後に小ネギを散らせば完成です。
僕は、時々カレー粉を入れてカレー風味で食べることもあります。
ターメリックが加わりますので、より効果的です。
興味のある方は是非御堪能あれ。
【まとめ】
大腸がんとは
・肉や乳製品などの動物性食品の多食(特に脂肪の摂り過ぎ)、食物繊維の摂取不足(便秘)、大腸ポリープなどが危険因子
;動物性脂肪の過多により、胆汁と腸内細菌が作用しあってがんを発生させること、食物繊維の摂取量が相対的に減少して排便を滞らせることが原因
食事の基本
・肉や乳製品、脂肪を控え、特に食物繊維を積極的に摂取する
・食物繊維、β-カロテン、ビタミンCの多い野菜や、リンゴなどの果物、海藻類、キノコ類などを幅広くとることがポイント
・魚ではイワシやキビナゴは、カルシウムとビタミンDが両方多く含まれているので効果的
・肥満や飲酒、便秘は、大腸がんのリスクを高めるので注意
・大腸がんのリスクは、肉と野菜を食べる割合によって決まる
;ただ肉を食べる量を減らすだけではなく、野菜を食べる量を増やさなければ効果は得られない
効果の期待できる野菜類
・食物繊維の多いもの
・β-カロテンの多いもの
・ビタミンCの多いもの
・カルシウムの多いもの
・ビタミンDを含むもの
・フラボノイドを含むもの
・葉酸の多いもの
・その他;しょうが、たまねぎ
・ターメリック
・フィチン酸
効果的な食べ方
・食物繊維には大別して水溶性と不溶性があるが、共に大腸がんを防ぐ効果がある
・1食分10g(成人の1日の目標摂取量は20-25g)を目安に、野菜や豆類、キノコ・海藻類、果物などを組み合わせて多種類の食物繊維を摂ることがポイント
・葉酸は加熱で失われやすいので生野菜として摂るのが望ましく、ビタミンB1(豆類など)は葉酸の吸収を増し、ビタミンCは葉酸代謝を盛んにするので、3つを一緒に摂るとよい
・1日に半カップ相当量のブロッコリーを余計に食べると、結腸がん予防の助けとなるという報告もある
オススメ食材
・アスパラガス、枝豆、オクラ、カリフラワー、ごぼう、小松菜、昆布、サツマイモ、里芋、さやいんげん、さやえんどう、椎茸、春菊、大豆、筍、チンゲン菜、トウモロコシ、にんじん、ピーマン、ブロッコリー、ほうれん草、舞茸、モロヘイヤ、レンコン、わかめ
【クイズ】
Q1:大腸がんの危険因子として誤っているのはどれか。
①肉や乳製品の過剰摂取 ②便秘 ③食物繊維の摂取
Q2:大腸がんに有効な食物繊維は野菜からのみ摂取するようにする。〇か×か。
Q3:大腸がんのリスクは、肉と野菜を食べる割合によって決まる。〇か×か。
回答
Q1の正解:③
肉や乳製品などの動物性食品の多食(特に脂肪の摂り過ぎ)、食物繊維の摂取不足(便秘)、大腸ポリープなどが危険因子です
Q2の正解:×
そんなことはありません
1食分10g(成人の1日の目標摂取量は20-25g)を目安に、野菜や豆類、キノコ・海藻類、果物などを組み合わせて多種類の食物繊維を摂ることがポイントです
Q3の正解:〇
ただ肉を食べる量を減らすだけではなく、野菜を食べる量を増やさなければ効果は得られません
今回は、『大腸がんの改善が期待できる食材』に関して簡単にまとめてみました。
次回は、『食道がん』に対する食事法を簡単にまとめていこうかと思います。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
【参考文献】
『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著
『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著
スティーヴン・J・シンプソン著
『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著
『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著
『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著
『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著
『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著
『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著
『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著
『この病気にはこの野菜』斎藤 嘉美監修
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