前回は、「ダイエットに関連した食事」をお話させていただきました。
今回は『老化を食い止める食材』に関してみていこうと思います。
【老化を食い止める食材】
老化には、生理的な老化と病的な老化があります。
体の働きは発育が完了する20歳頃から次第に下り坂になっていき、老化は誰の身にも起こってしまいます。
嫌ですね。できれば歳はとりたくないものです。
老化の進行は不可逆的で止めることはできないものの、それを遅らせ、健康体のまま長生きすることはわれわれの努力次第。
健康体を保って老年を過ごすには、適切な食生活、適度の運動、運動後・疲労時の休息、脳の活性化や心の持ち方がポイントになります。
これらによって病的な老化を防ぎ、生理的な老化を遅らせることができるわけです。
ですので、今回は食事の面から老化に対抗するためのポイントをお話させていただきます。
≪抗酸化による老化防止≫
食事内容に入る前に、老化に非常に関わりの深い「抗酸化」に関してみていきましょう。
抗酸化とは
我々の体は酸素を利用してエネルギーを作り出していますが、酸素を利用すると同時に活性酸素という毒素を常に体内で生じさせてしまいます。
この活性酸素が我々の細胞を傷つけ、被害をもたらします。
活性酸素は老化、がん、シワ、シミ、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因になることは周知の事実。
活性酸素は年齢とともに増えるとも言われていますが、ストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、多量飲酒、紫外線なども活性酸素が増える原因となってしまいます。
体内で増えた活性酸素を除去していくことが、老化や、がん、生活習慣病などの予防になりますが、活性酸素によって酸化を抑えることを、抗酸化と言い、活性酸素から体を守ることを抗酸化作用と言うのですね。
抗酸化とは体の中を錆びつかせない(酸化を抑える)ことですが、活性酸素は体内の酵素によって分解されます。
しかし活性酸素の生成量が多いと、無毒化が間に合わずダメージを受けてしまう結果に。
活性酸素の働きを抑えるのは酵素だけでなく、抗酸化物質も活性酸素から体を守ってくれます。
我々の体内では活性酸素を無毒化する抗酸化の働きが加齢によって低下してしまいます。そのため処理しきれなかった活性酸素は体内にたまり、より毒性の強いものへと変わっていってしまうのです。
抗酸化物質とは
抗酸化物質とは、酸化されやすい物質のことで、活性酸素などによって我々の体が酸化されるよりも優先的に酸化してくれる物質です。
そのため、抗酸化物質自身が酸化されることで、体を酸化から防御してくれるわけですね。この抗酸化物質によって、我々の細胞は無傷で存在できると。
ありがたい存在であります。
ここで代表的な活性酸素をみていきましょう。
・スーパーオキシド
;三大栄養素をエネルギーに変える時に発生する活性酸素
・過酸化水素
;スーパーオキシドや金属元素と反応すると、ヒドロキシラジカルが生まれる
・ヒドロキシラジカル
;毒性が最も強い活性酸素で、がんや生活習慣病、慢性疾患、老化の直接的な原因となる
・一重項酸素
;毒性の強い活性酸素で、紫外線を繰り返し浴びていると、皮膚の細胞中に大量に発生し、皮膚がんを強力に促す
活性酸素といっても、さまざまな種類があるのですね。
《体調を崩さないようにする食材》
アンチエイジングにとって活性酸素は大敵であることはご理解いただけたかと。
この活性酸素の進化を止めるのに必要なフィトケミカルは、基本的に野菜や果物を食べることで摂取できます。
目安としては、野菜や果物の1日の摂取目標は350gです。
フィトケミカルの種類としては、「ポリフェノール」「カロチノイド」「硫黄化合物」が挙げられます。
それぞれの特徴をみていきましょう。
[ポリフェノール]
ブルーベリーやイチゴ、ブドウの皮に含まれているアントシアニンは、ポリフェノールの一種になります。
また、ブルーベリーやイチゴに含まれているフィセチンには、記憶力アップの効果もあるため、老化防止にもなりますし一石二鳥です。
基本、紫色の食べ物には、アントシアニンが含まれていると覚えれば分かりやすいかと。
緑茶や小豆などに含まれている日本の代表的なポリフェノールといえるのがカテキンになります。
カテキンには、抗酸化作用の他に抗アレルギー作用や抗ウイルス作用もあるため、風邪対策にも効果的です。
玉ねぎやブロッコリーに含まれるケルセチンもポリフェノールの一種で、抗酸化作用が強いだけでなく、抗がん作用、抗炎症作用、血管や細胞の老化防止などの効果もあります。
しそ、セロリ、春菊、ニンジンに含まれるルテオニンもポリフェノールの一種になります。
ルテオニンには、脳の炎症を抑える、抗アレルギー作用、免疫力アップ、記憶力アップなどの効果が期待できます。
大豆もやしに多く含まれるイソフラボンもポリフェノールの一種で、抗がん作用や、抗更年期作用などが期待できます。
ゴマに含まれるリグナンもポリフェノールの一種になります。
リグナンには抗酸化作用だけでなく、老化予防、発がん予防、コレステロール値の改善などの効果もあります。
ローズマリーやしそに含まれるロスマリン酸もポリフェノールの一種で、炎症反応を抑える作用、アトピー性疾患や花粉症などの緩和などの作用があります。
レモンの黄色の色素であるエリオシトリンもポリフェノールの一種で、抗酸化作用だけでなく、動脈硬化予防の効果があります。
レモンやみかんの皮など柑橘系の白い部分に含まれるヘスペリジンもポリフェノールの一種で抗アレルギー作用や抗ウイルス作用があります。
レモンの皮の香りにはリモネンという成分も含まれており、リラックス効果も期待できます。
ポイントは、「さまざまな効果を持ち、共通して登場している食材」を、自分なりに見つけることです。
[カロチノイド]
カロチノイドに関しては、後で詳述しますので、ここでは種類だけ列挙させていただきます。
- αカロテン・βカロテン
- リコピン
- ルテイン
- カプサンチン
- βクリプトキサンチン
[硫黄化合物]
硫黄化合物は、デトックス効果を高める機能があります。
玉ねぎの皮には、抗がん作用、抗炎症作用が高いケルセチンが含まれています。
玉ねぎの皮は水に入れて煮込んでから、お酒や塩、コショウなどで味を調えたものをベースに、野菜スープなどを作って摂取することをオススメします。
硫化アリルは熱を加えると別の物質に変わってしまうため、鍋料理でねぎを使用するのであれば、くたくたになるまで煮込むのではなく、食べる直前に入れるようにしましょう。
≪老化防止が期待できる野菜類≫
先程の内容と重複するところもあるかと思いますが、何度も出てくるということはそれだけ大事だということですので。
そのあたりは御容赦いただいて。
[カロテノイド(β-カロテン、リコピンなど)の多いもの]
β-カロテンは代表的なカロテノイドで、活性酸素の生成を抑制する作用があります。
シソ、モロヘイヤ、ニンジン、春菊、ほうれん草、カボチャ、小松菜、アシタバ、チンゲン菜、大根菜、ニラ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれています。
リコピンもカロテノイドの一種で、主にトマトに含まれる赤い色素成分です。
β-カロテンの約2倍という強力な抗酸化作用をもち、加工品の真っ赤なトマトに特に多く含まれています。
[ビタミンCの多いもの]
ビタミンCは抗酸化作用があり、細胞の老化を防いでくれます。
一般にビタミンCは調理によって失われやすいが、ピーマンやジャガイモは加熱による損失が少なく、ピーマンは3個、ジャガイモは2個で、一日に必要なビタミンCを摂取できます。
ピーマン(特に赤・黄ピーマン)、芽キャベツ、ほうれん草、ブロッコリー、京菜、カブの葉、カリフラワー、ニガウリ、サヤエンドウなどに多く含まれます。
[ビタミンEの多いもの]
ビタミンEは強力な抗酸化作用があり、細胞の老化を防いでくれます。
また、悪玉(LDL)コレステロールを抑え、善玉(HDL)コレステロールを増やして動脈硬化を予防してくれます。
カボチャ、モロヘイヤ、赤ピーマン、ブロッコリー、ニラ、ほうれん草、大豆などに多く含まれています。
[高核酸食品]
核酸は細胞の新陳代謝を活発にして老化を抑制するとともに、老化に伴う心臓や肝臓の機能低下を回復させる作用があります。
ほうれん草、アスパラガス、カリフラワー、大根、タマネギ、ネギ、豆類、マッシュルームやシイタケなどのキノコ類が核酸を多く含んでいます。
[カルシウムの多いもの]
カルシウムは丈夫な骨や歯を維持する働きがあり、骨粗鬆症のほか、肩こりや腰痛、動脈硬化や高血圧の予防にも効果があります。
ひじき、昆布などの海藻類やキクラゲのほか、小松菜、モロヘイヤ、大根菜、カブの葉、京菜、ツマミ菜、広島菜、からし菜、野沢菜、春菊、チンゲン菜など青菜・緑黄色野菜に多く含まれています。
[葉酸の多いもの]
葉酸は造血やタンパク質・核酸の合成に重要な役割を果たし、貧血の予防や細胞が新しく作り出されるときに欠かすことはできない栄養素です。
健忘症、うつ、認知症、神経過敏などを防ぐ効果もあります。
ほうれん草、春菊、京菜、モロヘイヤ、芽キャベツ、ブロッコリー、アサツキ、アスパラガスなどの緑黄色野菜や、枝豆などの豆類に含まれています。
[亜鉛を含むもの]
亜鉛は、老化現象といえる脱毛や肌荒れ、動脈硬化や糖尿病、男性の性能力の低下や前立腺肥大症の予防に効果的で、正常な味覚も保ってくれます。
舞茸やそら豆・枝豆・グリーンピースなどの豆類、筍、シソ、ブロッコリーなどに多く含まれています。
[グルタチオンを含むもの]
グルタチオンは、活性酸素や過酸化脂質を除去して細胞の機能低下(老化)を抑制してくれます。
また、メラニン生成阻害作用などがあり、シミを防ぐ効果が期待できます。
ブロッコリー、ほうれん草、タマネギなどに含まれています。
[ケルセチンの多いもの]
ケルセチンは強力な抗酸化物質・フラボノイドの一種で、老化の原因とみられる活性酸素の発生を抑えるだけでなく、肌荒れやシミの原因となる紫外線からの防御、皮膚障害の予防にも効果が期待されます。
タマネギ、アスパラガス、絹さやなどに多く含まれています。
タマネギは、各種生体機能の低下に関係していると思われるタンパク質糖化最終産物(AGE)の生成を防ぐうえでも有用な食品と考えられています。
≪老化防止が期待できる果物≫
老化防止が期待できる果物、それは「バナナ」になります。
バナナは、黒っぽくなって、甘い香りがするようになってから食べた方が健康に良いと。
甘い香りはオイゲノールという成分で、白血球を増やす作用があるんだとか。
≪老化防止食材の効果的な食べ方≫
老化防止に効果のあるカロテノイドやビタミンC・Eは一緒に摂ると相乗効果で酸化を防ぎ、抗酸化作用が高まります。
特にカボチャ、ほうれん草、モロヘイヤなどは、この3つの栄養素を比較的多く含んでいるので、積極的に摂取していきたいところ。
また、カロテノイド、ビタミンEは油と一緒に摂ることにより共に吸収が高まりますので、調理の際は参考にしてみてください。
カルシウムは、その働きを助けるビタミンD(キノコ類、特に天日干しのキクラゲや干しシイタケ)やマグネシウム(海藻類、ほうれん草、ゆで大豆、納豆)と一緒に摂ると、より効果的です。
カルシウムとマグネシウムの摂取比率は2-3対1が理想的といわれております。
葉酸は加熱で失われやすいので生野菜として摂るのが望ましく、ビタミンB1(豆類など)は葉酸の吸収を増し、ビタミンCは葉酸代謝を盛んにするので、3つを一緒に摂るとよいのではないでしょうか。
薄味は味付けが単調になりやすいので、酢やレモンなどで酸味をきかせたり、ショウガやニンニク、シソ、海苔などの香りを添えたり、鰹節や干しシイタケなどのダシを利用するとよいです。
前回のブログで、「旨味」に関して触れさせていただきましたが、ここで早速使えるかと思いますので、参考にしてみてくださいね。
鮮度のよいものや旬の食材を選べば、薄味でも美味しく食べられますので、食材選びも楽しんでみてください。
《チョコレートはアンチエイジングフード》
1日720mgのココアフラボノイドを摂取すると、メンタルの強さや短期記憶、頭の回転の速さなどを表す指標であるワーキングメモリーが向上することがわかっています。
1日900mgのココアフラボノイドを継続して3ヶ月飲むと、記憶力が10歳若返るなんて報告も。
摂取量の目安としては、85%のチョコレートで45g程度です。
カカオに含まれるココアフラボノイドはアンチエイジングの効果があり、肌もキレイにしてくれます。
ココアフラボノイドを摂取して1時間が経過すると、肌の血流が増加し、保湿力が高まるため、美肌にもなります。
アンチエイジングを求める場合、摂取量としては、200-600mgのココアフラボノイドが効果的です。
カカオの成分は血液脳関門を突破して脳の老化を防いでくれます。
カカオを摂取するときに一緒に食べることで、注意力の持続力や感情を抑制するなど脳の興奮を抑える力がアップしたり、カカオのデメリットである血圧上昇を食い止めてくれる組み合わせがあります。
それが、「テアニン」です。
テアニンとは、緑茶に含まれる旨味成分のことで、高級なお茶ほど多く含まれています。
ですので、カカオを摂取する際に位は、一緒に緑茶を飲むと相乗効果が期待できます。
カカオで血管を若返らせることもできるそうです。
肩こりや頭痛、冷え性などにもカカオは効果があるそうです。
カカオを食べることで血管が拡張されるのは、血管内の一酸化窒素が増加するためですね。
慢性疲労の悩みを抱えている人にもカカオはオススメで、ココアポリフェノールが慢性疲労に効果があることがわかっています。
ココアパウダーは約24%が食物繊維のため、便秘対策にもオススメで、腸内環境の改善に役立ちます。
【まとめ】
・体内で増えた活性酸素を除去することが、老化や、がん、生活習慣病などの予防になる
・活性酸素の進化を止めるのに必要なフィトケミカルは、野菜や果物から摂取
;フィトケミカルの種類としては、「ポリフェノール」「カロチノイド」「硫黄化合物」
・老化防止が期待できる果物は「バナナ」
・老化防止に効果のあるカロテノイドやビタミンC・Eは一緒に摂ると相乗効果で酸化を防ぎ、抗酸化作用が高まる
;特にカボチャ、ほうれん草、モロヘイヤなどは、この3つの栄養素を比較的多く含む
・アンチエイジングを求めるのであれば、チョコレートやカカオパウダーを摂取する
;摂取量としては、200-600mgのココアフラボノイドが効果的
【クイズ】
Q1:老化の進行を遅らせるには活性酸素をうまく除去することが重要だ。〇か×か。
Q2:活性酸素の進化を止めるのに必要なフィトケミカルを効率的に摂取する食材として誤っているのは以下のうちどれか。
①野菜 ②果物 ③肉
Q3:老化防止が期待できるスイーツとして正しいのは以下のうちどれか。
①カスタード ②チョコレート ③クリーム
回答
Q1の正解:〇
その通りですね
体内で増えた活性酸素を除去することが、老化や、がん、生活習慣病などの予防になります
Q2の正解:③
活性酸素の進化を止めるのに必要なフィトケミカルは、野菜や果物から摂取できます
フィトケミカルの種類としては、「ポリフェノール」「カロチノイド」「硫黄化合物」があります
Q3の正解:②
アンチエイジングを求めるのであれば、チョコレートやカカオパウダーを摂取するようにしましょう
今回は、『老化防止に関連した食事』に関して簡単にまとめてみました。
次回は、『ストレスに関連した食事』を簡単にまとめてみようかと。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
【参考文献】
『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著
『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著
スティーヴン・J・シンプソン著
『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著
『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著
『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著
『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著
『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著
『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著
『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著
『この病気にはこの野菜』斎藤 嘉美監修
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