『肝硬変』と闘う食材

食事

前回は、「ウイルス性肝炎の改善が期待できる食材」をお話させていただきました。

今回は『肝硬変』に関してみていこうと思います。

【肝硬変の改善が期待できる食材】

≪「肝硬変」とは≫

肝硬変は、肝臓が凸凹になるとともに線維化して硬くなり、すべての肝機能が低下した肝臓障害の末期状態です。

原因のほとんどがウイルス感染で、なかでもC型肝炎によるものが約6割を占めます。

急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変と進むケースが多いのが特徴です。

アルコール類の多飲(アルコール性肝硬変)、栄養障害(特に低カロリー、低タンパク、ビタミン不足)などによることもあります。

≪食事の基本≫

安静と適切な食事療法、禁酒により、できるだけ代償期の状態を保つことが大切です。

初期の代償性と、浮腫みや腹水の出る非代償性では、食事の内容が異なります。

代償性肝硬変では肥満でない限り高カロリー食にし、肝臓の機能を維持するためにタンパク質、ビタミン、ミネラルを充分に摂ります。

緑黄色野菜も積極的に摂り、栄養バランスのよい食生活を心掛けましょう。

塩分は8g以下に制限するようにします。

非代償性肝硬変の場合は、肝性脳症を防ぐためにタンパク質を制限して血中アンモニアの濃度を下げます。

脂肪の消化能力が落ちているため、調理用の油は使わず、脂肪やコレステロールの多い食品も控えるようにします。

エネルギーは糖質でとり、塩分は5-7g以下に抑えます。

便秘も腸内にアンモニアを発生させるもととなるため、肝性脳症を起こしやすくなります。

ビフィズス菌は有害な菌の活動を抑制し、便秘を予防することで、腸内のアンモニアなどの有害物質の発生を減らす作用があります。

腸内にビフィズス菌を増やすにはオリゴ糖が役立ちます。

また、食物繊維も便秘の予防・改善には効果がありますので、積極的に摂り入れていきましょう。

何度もお伝えしますが、コレステロールの摂取量によって、将来、肝硬変や肝がんになる確率が大きく左右されることがわかっています。

肝臓疾患の最大の原因である非アルコール性脂肪肝疾患にならないようにするには、カロリー、コレステロール、飽和脂肪、砂糖の過剰摂取を避けるのが最善の策となります。

[肝臓を守る朝食]

1日のはじめにボウル1杯のオートミールとコーヒーの朝食を摂れば、肝機能の保護に役立ちます。

オートミール

ある実験で、全粒穀物は慢性疾患を予防する効果が高いことがわかりました。

また、2014年のある調査では、全粒穀物には、非アルコール性脂肪肝疾患の患者たちの肝炎リスクを減少させる保護効果があることも確認されております。

加えて、精製された穀物の摂取はかえって病気のリスクを高めることもわかりました。

コーヒー

コーヒーの摂取は肝臓炎症の緩和と関連性があります。

アメリカの実験で、コーヒーを1日2杯以上飲む人たちは、1日1杯以下の人たちに比べて、慢性の肝臓疾患を発症するリスクが半分以下だったとのこと。

また2013年のレビューによると、コーヒーの摂取量がもっとも多い人たちは、もっとも少ない人たちに比べて、肝臓がんのリスクが半分だとわかりました。

同じく2013年に発表された研究では、コーヒーの摂取にはDNAの損傷を減らし、ウイルスに感染した細胞の除去を促進し、瘢痕の形成を遅らせる効果があることがわかりました。

すなわち、コーヒーには肝臓疾患の進行リスクを低減させる効果があることがわかりますね。

≪効果が期待できる野菜類≫

[食物繊維の多いもの]

便秘を改善することで肝性脳症を予防するとともに、有害物質を吸着して排泄するため、解毒に働く肝臓の負担を軽減する効果も期待できます。

野菜類ではモロヘイヤ、ゴボウ、大豆、枝豆、オクラ、カボチャ、ブロッコリー、カリフラワー、さやえんどう、トウモロコシ(スイートコーン)、インゲン豆、春菊、ほうれん草、筍、ネギ、ニンジン、サツマイモ、里芋、レンコン、ピーマン、ナス、こんにゃくなどに多く含まれています。

野菜、豆類、イモ類、キノコ、海藻、果物、穀物など、いろいろな食品からバランスよく食物繊維を摂ることがポイントになります。

腹水があるときは消化機能が低下しており、併発している食道静脈瘤の破裂を防ぐためにも、消化の悪いゴボウや筍、レンコン、皮の堅い豆類などは避けるようにしましょう。

[グルタチオンを含むもの]

肝臓の解毒機能を促し、過酸化脂質の生成抑制や分解に働いて肝機能を改善します。

ブロッコリー、ほうれん草、タマネギなどに含まれています。

[オリゴ糖を含むもの]

ビフィズス菌を増やすオリゴ糖は、ヨーグルトや清涼飲料水に添加されているが、大豆やアスパラガス、ゴボウ、タマネギ、ネギ、ニンニクなどにも含まれています。

≪効果的な食べ方≫

減塩食の調理の際は、酸味、素材の旨味、香りを生かすようにしましょう。

酸味は塩分の代わりになりますので、レモンなどの柑橘類や酢を使うとよいです。

干しシイタケの戻し汁、昆布や削り節などで取ったダシ汁で煮物や汁物などを作ると、風味がよくなり美味しくなりますよ。

≪オススメ食材≫

ここまで、さまざまな食材が出てきて混乱してしまうかと思いますので、あいうえお順でよりオススメの食材を羅列しておきますので、参考までに!

・ごぼう

・さやえんどう

・大豆

・タマネギ

・ネギ

・ブロッコリー

・ほうれん草

≪ヘルスメガネマン的オススメ食材≫

ここで、僕がこれまでの内容から独断と偏見で、オススメの食材を厳選してみましたので、気が向いた方がいましたら、参考にしてみてください。

第1位:ブロッコリー

第2位:タマネギ

第3位:アスパラガス、ごぼう

ここで、僕もよく食べている1品を紹介します。

「ごぼうの柳川風」です。

ごぼうはささがき、タマネギはうす切りにします。

めんつゆと水の入った鍋で煮詰めます。

ごぼうとタマネギが柔らかくなってきたらひと口大に切った木綿豆腐を加え、もうひと煮立ちさせます。

溶き卵を入れてかたくなり過ぎない程度に火をいれます。

器に盛りつけ、最後に小ネギをのせたら完成です。

がっつり食べたい人は、牛肉や豚肉を使ってもいいかもしれません。

興味のある方は是非御堪能あれ。

【まとめ】

・安静と適切な食事療法、禁酒により、できるだけ代償期の状態を保つことが大切

・代償性肝硬変では肥満でない限り高カロリー食にし、肝臓の機能を維持するためにタンパク質、ビタミン、ミネラルを充分に摂る+緑黄色野菜も積極的に摂り、栄養バランスのよい食生活を心掛ける

・非代償性肝硬変の場合は、肝性脳症を防ぐためにタンパク質を制限して血中アンモニアの濃度を下げる+脂肪の消化能力が落ちているため、調理用の油は使わず、脂肪やコレステロールの多い食品も控える

・便秘は肝性脳症を起こしやすくする

 ➝腸内にビフィズス菌を増やす+食物繊維を積極的に摂り入れる

【クイズ】

Q1:肝硬変になっても治療によって元の状態の肝臓に戻すことができる。〇か×か。

Q2:肝硬変の原因としてもっとも多い肝炎ウイルスの型として適しているもの以下のうちどれか。

 ①A型肝炎 ②B型肝炎 ③C型肝炎

Q3:肝臓の機能や肝機能低下による合併症を防ぐものとして誤っているものは以下のうちどれか。

 ①ビフィズス菌 ②肉 ③食物繊維

回答

Q1の正解:×

 現在の医学では、一度肝硬変になってしまうと、もとの肝臓に状態に戻すことはできません

 ですので、肝硬変にならないように予防することが重要になってきます

Q2の正解:③

 原因のほとんどがウイルス感染で、なかでもC型肝炎によるものが約6割を占める

急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変と進むケースが多いのが特徴

Q3の正解:②

 この中だと肉になりますかね

なるべくコレステロールを減らす食事を心掛けるとよいです

今回は、『肝硬変の改善が期待できる食材』に関して簡単にまとめてみました。

次回は、『脂肪肝』に対する食事法を簡単にまとめていこうかと思います。

『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』

【参考文献】

『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著

『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著

     スティーヴン・J・シンプソン著

『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著

『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著

『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著

『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著

『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著

『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著

『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著

『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著

『この病気にはこの野菜』斎藤 嘉美監修

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