『肺がん』と闘う食材

食事

前回は、「がん全般の改善が期待できる食材」をお話させていただきました。

今回は『肺がん』に関してみていこうと思います。

【肺がんの改善が期待できる食材】

〖今日のポイント〗

肺がんとは

・特に男性に多いがんで、発がん因子の第一はタバコの煙

・食生活を改善するだけで、タバコの煙に含まれる発がん物質によるダメージを縮小できる可能性がある

食事の基本

・まず禁煙し、緑黄色野菜をたくさん摂る

;野菜や果物の豊富な食事を摂れば、病気の進行を遅らせたり、肺機能を改善したりすることができることがわかっている

➝特にβ-カロテンは肺がんのリスクを軽減させてくれる

・β-カロテンの約2倍という強い抗酸化力をもつリコピンも予防に有効

・ビタミンB群やC・Eも予防効果が期待できる

・BBQなどの高温での調理を行う際には、「多環芳香族炭化水素」などの発がん性物質が発生しないよう、食材をこまめに反転し、食材に火がつかないよう注意して調理する

効果の期待できる野菜類

・β-カロテンの多いもの

・リコピンの多いもの

・ビタミンB群を含むもの

・ビタミンCの多いもの

・ビタミンEの多いもの

・セレンを含むもの

・その他;ターメリック

効果的な食べ方

・ビタミンEの抗酸化作用は、ビタミンCと一緒に摂ると一層高まる

・セレンの効果はビタミンEと一緒に働くと倍増する

・1日に半カップ相当量のブロッコリー(カボチャ、ニンジン、サツマイモ、ほうれん草も同様)を余計に食べると、肺がんの予防に効果的という報告あり

オススメ食材

・にんじん、ブロッコリー、ほうれん草、モロヘイヤ

≪「肺がん」とは≫

特に男性に多いがんです。

咳、痰、血痰、胸や背中の痛みなどが1-2か月続くようであれば検査を受けましょう。

発がん因子の第一はタバコの煙です。

喫煙者の肺がん罹患率は非喫煙者に比べ、女性の場合は13倍、男性の場合は23倍も高いとの結果があるほどです。

本人がタバコを吸わなくても、常に副流煙にさらされていると、肺がんの罹患率は20-30%も高くなってしまうとの報告もあります。

特に1日25本以上喫煙する人の肺がん死亡率は、非喫煙者の約7倍に上るという報告もあります。

食生活を改善するだけで、タバコの煙に含まれる発がん物質によるダメージを縮小できる可能性があることがわかっていますので、食生活を今一度見直してみましょう。

ここで、喫煙と食事の身体への影響を比較した結果をみてみたいと思います。

喫煙の影響とケールの効果はどちらが大きいのかを調べた実験があります。

その実験において、ケールによる抗酸化活性は、喫煙者では認められなかったとのこと。

つまり、喫煙によって発生した活性酸素やフリーラジカルによって、体内の抗酸化物質が消費され、枯渇してしまったためと考えられます。

これを見ると、とりあえずまずは禁煙をしないと食事の効果が帳消しになってしまう可能性が示唆されますよね。

≪食事の基本≫

まず禁煙し、緑黄色野菜をたくさん摂りましょう。

野菜や果物の豊富な食事を摂れば、病気の進行を遅らせたり、肺機能を改善したりすることができることがわかっていますので。

特にβ-カロテンは肺がんのリスクを軽減させてくれます。

ですが、β-カロテンを純粋な物質として非常に大量に摂ると(例えば1日20mgくらい)、がんのリスクがかえって高まるという報告もあるので注意が必要です。

食物として摂るのはよいが、多量のβ-カロテンをサプリメントなどから摂るのは避けた方がよいかと。

β-カロテンの約2倍という強い抗酸化力をもつリコピンも(特に喫煙者で)予防に有効とされています。

また、ビタミンB群やC・Eも予防効果が期待できます。

緑茶の渋味成分のカテキンは、発がんやがんの増殖を抑制する作用がありますが、1日10杯以上飲まないと効果は期待できないそうです…。

アルコールや脂肪の過剰摂取は、リスク因子として挙げられるので気をつけましょう。

[食事による「副流煙」]

ここで、食事による「副流煙」についても触れさせていただきますね。

「多環芳香族炭化水素」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

この物質は、食品を高温で加工調理した際に、食品に含まれる成分などが化学反応を起こすことで意図しないにも関わらず生成してしまう有害な化学物質です。

ある空気汚染の研究では、胎児のときにこの発がん物質の一つである多環芳香族炭化水素にさらされると、将来、子供の認知発達に悪影響が出る可能性があることがわかりました。

なんとも怖い事実ですよね。

ですが、家庭での調理ではそこまで気にしなくても良さそうです。

それが分かる農林水産省が公表している研究結果もお示ししておきます。

家庭での使用頻度の高い調理器具(IHヒーター、ガスコンロ、家庭用グリル)では、BBQグリルで調理した場合と比べて、肉類や魚類を食べられる限界まで加熱調理しても上記の化学物質は低い値、もしくはほとんど検出されず、焦げてもほとんど生成していなかったとのこと。

また、脂質含有量の多い肉類や魚類の直火加熱(BBQグリル)調理では、上記化学物質が生成しやすいが、食材をこまめに反転し、食材に火がつかないよう注意して調理することで、生成を低く抑えられる傾向がみられたとも報告しております。

ですので、BBQなどを行う際には、食材をこまめに反転し、食材に火がつかないよう注意して調理しましょう。

このようなことを書くと、BBQを完全悪だと思ってしまう人もいるかもしれませんが、そんなことはありませんので注意を。

BBQは楽しく食材をいただくいい方法ですし、他人とのコミュニケーションも深まりますし、外での行事は人間の幸福度を上げてくれることもわかっていますので、注意するところは注意し、全力で楽しんでいただければと思います。

≪効果が期待できる野菜類≫

[β-カロテン(ビタミンA)の多いもの]

β-カロテンは代表的なカロテノイドで、体内で必要な量だけビタミンAに変わるため、プロビタミンA(ビタミンAの前駆物質)といわれます。

ビタミンAは肺の粘膜を正常に保つほか、がん化した細胞を正常に戻す作用があり、変換されないβ-カロテンには、活性酸素の生成を抑制する作用があります。

シソ、モロヘイヤ、ニンジン、春菊、ほうれん草、カボチャ、小松菜、アシタバ、チンゲン菜、大根葉、ニラ、ブロッコリーなど緑黄色野菜に多く含まれています。

[リコピンの多いもの]

強い抗酸化作用をもつリコピン(カロテノイド)はトマトを筆頭に、スイカ、柿などに含まれる赤い色素です。

色が濃いほど色素が含まれているので加工品などに用いられる赤系トマトは、生食用のピンク系トマトよりも、リコピンを3倍ほど多く含有しています。

[ビタミンB群を含むもの]

ビタミンB群は免疫機能を高め、発がんに対する抵抗力をつけてくれます。

水溶性ビタミンで、協力し合って働くので、毎日まんべんなく摂ることが大切になります。

海苔やマイタケ(乾)、豆類に全般的に多く、ビタミンB2は納豆、干しシイタケ、しめじ、エノキタケなどに、B6はニンニク、ほうれん草、しょうがなどに含まれています。

[ビタミンCの多いもの]

ビタミンCは、発がん物質(特に発がん性の高いニトロソアミン)が体内で生成するのを抑えてがんを予防します。

ピーマン(特に赤・黄ピーマン)、芽キャベツ、ほうれん草、ブロッコリー、京菜、カブの葉、カリフラワー、ニガウリ、サヤエンドウなどが多く含んでいます。

一般にビタミンCは調理によって失われやすいが、ピーマンやジャガイモは加熱による損失が少なく、ピーマンは3個、ジャガイモは2個で、一日に必要なビタミンCが摂れる優秀な食材です。

[ビタミンEの多いもの]

ビタミンEは、有害な活性酸素を除去して細胞膜を保護するとともに、ガンの引き金となる過酸化脂質の生成を抑制します。

カボチャ、モロヘイヤ、ブロッコリー、大豆などに多く含まれています。

[セレンを含むもの]

ミネラルの一種です。

過酸化脂質を分解して活性酸素の害から細胞膜や生体膜を守り、発がん抑制作用が認められています。

野菜では特にネギに多く、キュウリ、白菜、タマネギ、ブロッコリーなどにも含まれます。

過酸化脂質の生成を防ぐビタミンE(野菜ではカボチャ、モロヘイヤ、ブロッコリー、大豆などに多い)と一緒に働くと、効果は倍増します。

[ブロッコリー]

ブロッコリーに関してもう少し補足を。

タバコの煙には、体の免疫系を弱めて病気にかかりやすくし、がん細胞を破壊する能力を低下させる化学物質が含まれています。

加えて、タバコの煙は細胞のDNAにダメージを与え、がん細胞が最初にできた場所で増殖する確率を高める可能性があります。

そんな身体の損傷を抑制してくれるのがブロッコリー。

他にも、キャベツやカリフラワーなどの野菜を食べることでも、さらなる損傷を抑えることは可能であると。

また、ブロッコリーに含まれる特定の化合物には、がんの転移の拡大を抑制する効果があることもわかっています。

[その他]

ターメリックには発がん物質を抑制する効果があるとのことですので、少し触れておきますね。

なかでももっとも有望なのが、ターメリックに含まれる鮮やかな黄色の色素、クルクミン

クルクミンは、がん細胞の発生・増殖を予防し、さらには進行を防ぐ働きがあると。

このクルクミンの抗ガン作用は、遺伝子変異を防ぐ効果だけでなく、プログラム細胞死を規則正しくさせる効果もあるとのこと。

≪効果的な食べ方≫

ビタミンEの抗酸化作用は、ビタミンCと一緒に摂ると一層高まります。

また、セレンの効果はビタミンEと一緒に働くと倍増します。

1日に半カップ相当量のブロッコリー(カボチャ、ニンジン、サツマイモ、ほうれん草も同様)を余計に食べると、肺がんの予防に効果的という報告もあります。

≪オススメ食材≫

ここまで、さまざまな食材が出てきて混乱してしまうかと思いますので、あいうえお順でよりオススメの食材を羅列しておきますので、参考までに!

・にんじん

・ブロッコリー

・ほうれん草

・モロヘイヤ

≪ヘルスメガネマン的オススメ食材≫

ここで、僕がこれまでの内容から独断と偏見で、オススメの食材を厳選してみましたので、気が向いた方がいましたら、参考にしてみてください。

第1位:ブロッコリー

第2位:トマト、ニンジン

第3位:ネギ属の野菜、ほうれん草

ここで、僕もよく食べている1品を紹介します。

「にんじんとほうれん草にナムル」です。

ほうれん草はざく切りに、にんじんは千切りにします。

にんじんとほうれん草ともやしを茹でる。

鶏がらスープの素・醤油・塩・ニンニクで調味料を作成。

野菜と調味料を混ぜ合わせて、最後にごまを振りかけて完成です。

茹で汁は栄養素が溶け出しているので、僕は味噌汁などに使用しています。

興味のある方は是非御堪能あれ。

【まとめ】

肺がんとは

・特に男性に多いがんで、発がん因子の第一はタバコの煙

・食生活を改善するだけで、タバコの煙に含まれる発がん物質によるダメージを縮小できる可能性がある

食事の基本

・まず禁煙し、緑黄色野菜をたくさん摂る

;野菜や果物の豊富な食事を摂れば、病気の進行を遅らせたり、肺機能を改善したりすることができることがわかっている

➝特にβ-カロテンは肺がんのリスクを軽減させてくれる

・β-カロテンの約2倍という強い抗酸化力をもつリコピンも予防に有効

・ビタミンB群やC・Eも予防効果が期待できる

・BBQなどの高温での調理を行う際には、「多環芳香族炭化水素」などの発がん性物質が発生しないよう、食材をこまめに反転し、食材に火がつかないよう注意して調理する

効果の期待できる野菜類

・β-カロテンの多いもの

・リコピンの多いもの

・ビタミンB群を含むもの

・ビタミンCの多いもの

・ビタミンEの多いもの

・セレンを含むもの

・その他;ターメリック

効果的な食べ方

・ビタミンEの抗酸化作用は、ビタミンCと一緒に摂ると一層高まる

・セレンの効果はビタミンEと一緒に働くと倍増する

・1日に半カップ相当量のブロッコリー(カボチャ、ニンジン、サツマイモ、ほうれん草も同様)を余計に食べると、肺がんの予防に効果的という報告あり

オススメ食材

・にんじん、ブロッコリー、ほうれん草、モロヘイヤ

【クイズ】

Q1:肺がんにおいても、生活習慣で予防や改善ができる。〇か×か。

Q2:高温での調理であるBBQは発がん性物質を生成するので一切やめた方がよい。

〇か×か。

Q3:肺がんにおける発がんの第一因子として正しいのは以下のうちはどれか。

 ①喫煙 ②遺伝子 ③食事

回答

Q1の正解:〇

 もちろん〇です

 まず禁煙し、緑黄色野菜をたくさん摂るようにしましょう

Q2の正解:×

 極論は基本誤りのことが多いですね

 食材をこまめに反転し、食材に火がつかないよう注意して調理することで抑制できますので、BBQは楽しんでもらって大丈夫です

Q3の正解:①

 タバコですね

 禁煙しましょう

今回は、『肺がんの改善が期待できる食材』に関して簡単にまとめてみました。

次回は、『胃がん』に対する食事法を簡単にまとめていこうかと思います。

『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』

【参考文献】

『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著

『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著

     スティーヴン・J・シンプソン著

『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著

『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著

『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著

『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著

『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著

『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著

『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著

『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著

『この病気にはこの野菜』斎藤 嘉美監修

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