前回は、「糖尿病の改善が期待できる食材」をお話させていただきました。
今回は『脂質異常症』に関してみていこうと思います。
【脂質異常症の改善が期待できる食材】
≪「脂質異常症」とは≫
日本動脈硬化学会の定めた基準では、LDLコレステロール140mg/dl以上(高LDLコレステロール血症)、HDLコレステロール40mg/dl未満(低HDLコレステロール血症)、中性脂肪150mg/dl以上(高中性脂肪血症)が、脂質異常症に該当します。
脂質異常症自体は自覚症状がほとんどないですし、日常生活の支障になるものではありませんが、高血圧とともに動脈硬化の最も大きな危険因子であり、早めに治療しておく必要があります。
動脈硬化が進めば、心筋梗塞、脳梗塞などの重大な合併症を引き起こしてしまいます。
早期発見が重要であると同時に、日頃からライフスタイルや薬物使用に気を配り、脂質異常症が発症しないように予防することが重要です。
≪食事の基本≫
血液中のコレステロール値や中性脂肪値は、食事によって左右されます。
ですので、食事を正せば多くの場合、脂質異常症は治せると考えてよいでしょう。
脂質異常症の予防・改善に有効な食事の基本は次の通りになります。
➀高LDLコレステロール血症、あるいは高中性脂肪血症の原因となる食品の摂取を控える
➁LDLコレステロールの吸収を抑える食品を積極的にとる
➂LDLコレステロール、あるいは中性脂肪を減少させる食品を積極的に摂る
➃善玉といわれるHDLコレステロールを増やす食品を積極的に摂る
➀の高LDLコレステロール血症の原因食としては牛肉、豚肉、レバー、鶏の手羽先、卵(卵黄)、魚卵、イカ、バターなど、高中性脂肪血症の原因食としては糖質や脂質の過剰摂取があげられます。
糖度の高い果物も高中性脂肪血症の原因となる場合があるので注意が必要です。
➁の食品には食物繊維の多い未精白穀物(玄米など)や野菜、海藻があります。
➂に該当するのはα-リノレン酸系の食材(魚介類、海藻類、野菜類)や油(シソ油、エゴマ油、亜麻仁油など)になります。
➃としては適度のアルコール、オリーブオイル、ビタミンC・Eの多い野菜があげられます。
適度の運動(30分程度のウォーキングなど)も効果があります。
≪効果が期待できる野菜類≫
[ネギ属の野菜]
野菜はおしなべて脂質異常症の予防・改善に有効ですが、なかでもタマネギには著効が期待できます。
これまでに行われた多くの試験により、タマネギを常食するとコレステロールも中性脂肪も顕著に低下することが確認されています。
これはネギ属特有の硫黄を含む成分(含硫有機化合物)によるものになります。
タマネギほどではないですが、ネギ、ニラ、ニンニク、らっきょう、アサツキなど他のネギ属の野菜にも同様の傾向がみられます。
[水溶性食物繊維の多い野菜]
野菜に多い食物繊維はコレステロールの吸収を抑える働きがあります。
食物繊維には水に溶けるもの(水溶性食物繊維)と水に溶けにくいもの(不溶性食物繊維)がありますが、水溶性食物繊維の方がコレステロールの吸着作用は優れています。
水溶性食物繊維の多いものはゴボウ、モロヘイヤ、カボチャ、インゲン豆、ニンニク、オクラ、春菊、里芋、大豆などや、ひじき、ワカメ、昆布、海苔、もずくなどの海藻類、舞茸、シイタケなどのキノコ類にも多く含まれています。
[カロテノイドなど抗酸化作用のある野菜]
β-カロテンやリコピンなどのカロテノイドは強い抗酸化作用があり、LDL(悪玉)コレステロールの酸化および血管内への侵入・蓄積を防いで血液を流れやすくしてくれます。
β-カロテンはシソ、モロヘイヤ、ニンジン、春菊、ほうれん草、カボチャ、小松菜、アシタバ、チンゲン菜、大根葉、ニラ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれています。
β-カロテンの約2倍という強力な抗酸化作用をもつリコピンは、主にトマトに含まれる赤い色素成分です。
抗酸化作用のある野菜や果物は、色の濃いものほど強く作用します。
例えばトマトはより赤いものの方がリコピンが多く、ニンジンもオレンジ色の濃いものの方がβ-カロテン量が多いです。
ビタミンC・Eにも抗酸化作用があるので、ピーマン、ニガウリ、キャベツなども効果的な食材になります。
≪効果的な食べ方≫
タマネギなどに含まれる含硫有機化合物も食物繊維も比較的熱に強いので、いろいろに調理して食べられます。
目安として、1日1/4個(50g)以上食べるとよいとのこと。
タマネギは辛みの強いストロング黄タマネギを選び、生食する場合は水にさらさないことが大事になります。
なぜなら、水にさらすと有効成分が失われてしまうからですね。
高LDLコレステロール血症の人の場合は、タマネギもその他の野菜も、α-リノレン酸系の油(シソ油、エゴマ油、亜麻仁油)や加熱しても酸化しにくいゴマ油などで調理すると相乗効果を期待できます。
リノール酸の多い食用油(紅花油、マーガリン、サラダ油など)はコレステロールの低下に役立たないばかりか、がんや動脈硬化、アレルギー性疾患の原因になりやすいといわれているので、控えた方がよいです。
≪オススメ食材≫
ここまで、さまざまな食材が出てきて混乱してしまうかと思いますので、あいうえお順でよりオススメの食材を羅列しておきますので、参考までに!
・オクラ
・カボチャ
・ゴボウ
・シイタケ
・春菊
・大豆
・タマネギ
・ニラ
・ニンジン
・ニンニク
・ほうれん草
・舞茸
・モロヘイヤ
・レタス
・わかめ
≪ヘルスメガネマン的オススメ食材≫
ここで、僕がこれまでの内容から独断と偏見で、オススメの食材を厳選してみましたので、気が向いた方がいましたら、参考にしてみてください。
第1位:タマネギ、ニラなどのネギ属の野菜
第2位:昆布、わかめなどの海藻類、椎茸・舞茸などのキノコ類
第3位:トマト
ここで、僕もよく食べている1品を紹介します。
「ニラ玉トマトの味噌汁」です。
いつもの味噌汁の具を、タマネギ、ニラ、トマトにして、最後に溶き卵を入れたら完成です。
加えて、キノコや海藻なんか入れたらより効果的な1品になるかもですね。
興味のある方は是非御堪能あれ。
【まとめ】
・LDLコレステロール140mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満、中性脂肪150mg/dl以上が、脂質異常症
・脂質異常症の予防・改善に有効な食事の基本は次の通り
➀高LDLコレステロール血症、あるいは高中性脂肪血症の原因となる食品の摂取を控える
➁LDLコレステロールの吸収を抑える食品を積極的にとる
➂LDLコレステロール、あるいは中性脂肪を減少させる食品を積極的に摂る
➃善玉といわれるHDLコレステロールを増やす食品を積極的に摂る
・高LDLコレステロール血症の人の場合は、タマネギもその他の野菜も、α-リノレン酸系の油(シソ油、エゴマ油、亜麻仁油)やゴマ油などで調理すると相乗効果が期待できる
・リノール酸の多い食用油(紅花油、マーガリン、サラダ油など)は控える
【クイズ】
Q1:コレステロールの数値は低ければ低い方がよい。〇か×か。
Q2:脂質異常症に対しては、どの油もマイナスに作用してしまうので使用は控える。
〇か×か。
Q3:次のうち、健康にマイナスな影響をもたらす「アブラ」はどれか。
①オリーブオイル ②亜麻仁油 ③サラダ油
回答
Q1の正解:×
HDLコレステロールは40mg/dl未満だと低HDLコレステロール血症という脂質異常症に該当してしまいます
HDLは上げるように努めていきましょう
Q2の正解:×
そんなことはありません
オリーブオイルなどは積極的に摂りたい油ですし、魚などに豊富に含まれるオメガ3脂肪酸なんかも是非とも取り入れたい食材です
もちろん摂り過ぎはダメですけどね
Q3の正解:③
サラダ油は基本的には使わないのが一番かと
僕も一切使っていません
今回は、『脂質異常症の改善が期待できる食材』に関して簡単にまとめてみました。
次回は、『心疾患』に対する食事法を簡単にまとめていこうかと思います。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
【参考文献】
『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著
『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著
スティーヴン・J・シンプソン著
『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著
『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著
『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著
『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著
『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著
『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著
『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著
『この病気にはこの野菜』斎藤 嘉美監修
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