前回は、「脳力アップにつながる食材」をお話させていただきました。
今回は『腸力アップにつながる食材』に関してみていこうと思います。
【腸力向上が期待できる食材】
《不安や鬱を腸内細菌で改善》
いろいろな食事をすることで、偏りのない多様な腸内細菌を育てることができます。
鬱病も脳の炎症が原因という説があるため、抗炎症作用のある物質を作ってくれる腸内細菌はとても優秀といえるでしょう。
《マイクロバイオームは代謝の土台》
代謝のためには、マイクロバイオームの環境を整えることが何よりも重要となります。
プロバイオティクス、難消化性デンプン、食物繊維を日常的に摂るようにすれば、腸内フローラの善玉菌に栄養が行き渡り、代謝の土台が安定した状態になります。
腸内細菌郡であるマイクロバイオータを若く健康的に保つには、低脂肪で食物繊維が豊富な食材を摂取することがオススメになります。
ちなみにですが、腸内で重要な役割を担い、本質的に「悪い細菌でない」のはフィルミクテス門に属する細菌だと心にとめておくことも大切ですかね。
以前肥満の話をさせていただいたときに出てきた細菌ですね。
覚えてましたか?
《食べるものの多様性を高める》
マイクロバイオームの多様性の高さは、得られる健康効果の増加につながります。
ブルーベリーを食べるとビフィズス菌が増加し、腸内全体の細菌の多様性を高める方向に調節されます。
ピスタチオを食べてもビフィズス菌の比率が全体的に高められることがわかっています。
ピスタチオに限らず、クルミ、アーモンド、ブラジルナッツなどさまざまな種類のナッツを食べることで、マイクロバイオームの多様性が高まります。
マイクロバイオームの多様性と代謝のためを思うなら、是非旬の食べ物を積極的に食べるようにしましょう。
《腸内細菌が大喜びする食材リスト》
- リンゴ
「プロピオネート」呼ばれる短鎖脂肪酸には、炎症の抑制に加えて内臓脂肪を減らす効果まで期待できます。
リンゴに加えて、ニンニク、タマネギ、チコリの根、ヒカマ(クズイモ)、キクイモ、アスパラガスにも、プロピオネートの産生を助けるプレバイオティクスが豊富に含まれています。
- アスパラガス
イヌリン由来のプロピオネートは、PYYとGLP-1の分泌を大幅に増加させてくれます。
イヌリンの別形態である「フラクトオリゴ糖」は、アスパラガスに含まれているほか、ポロネギ、タマネギ、バナナにも含まれます。
- ココア
ビフィズス菌と乳酸菌の比率は大幅に増加し、クロストリジウム(脂肪の増加に関係するフィルミクテス門に属する細菌)の数は大幅に減少したとの報告があります。
ポリフェノールが豊富な緑茶やオリーブオイルも、ビフィズス菌やバクテロイデス門に属する細菌をはじめ、腸内にいる善玉菌を元気づける作用があります。
《プロバイオティクス食品のすごい効果》
[ヨーグルト]
脂肪分の高いヨーグルトが好きな人は、遠慮なく食べましょう。
そのほうが、ホルモンやマイクロバイオームが喜びますからね。
有機ヨーグルトやグラスフェッド乳を使ったヨーグルトには、腸の健康を損なう恐れのあるアレルギー誘発物質の含有量が少ないこともいい点ですね。
[納豆、味噌、テンペ]
食事に味噌を取り入れると、インスリンの働きが改善し、食後の血中グルコースレベルが正常値に戻る時間が早まります。
《食物繊維には大注目》
水溶性食物繊維の一日あたりの摂取量が10グラム増えるごとに、内臓脂肪がさらに3.7%減少することがわかっています。
不溶性食物繊維は、腸内で空腹ホルモンを不活性化して満腹感を引き起こす機械受容器に影響を及ぼし、それを通じて脂肪減少を助ける役割を果たしています。
栄養素を通じて脂肪燃焼を最大限に高めるには、水溶性と不溶性両方の食物繊維を健全に摂取するのがいちばんとなります。
水溶性食物繊維の優秀な供給源となる食物には、アボカド、サツマイモ、芽キャベツ、梨、ネクタリン、黒豆、ブロッコリー、リンゴ、アマニ、ニンジンなどがあります。
不溶性食物繊維の優秀な供給源となる食物には、ベリー類、豆類、オクラ、ほうれん草、ココア、サツマイモ、全粒穀物、リンゴ、クルミ、アーモンドなどがあります。
脂肪減少に必要となる量の食物繊維は、食事から摂ることをいちばんに考えてください。
何を食べるかだけでなく、その食品をどう調理して摂取するかで世界を一変させることができます。
《パンについて》
グルテンは腸管上皮を破壊し、炎症や自己免疫などの問題を次々に引き起こしかねませんので、食べすぎには注意が必要ですね。
≪頭は腸で良くなる≫
腸の炎症を抑えられれば、残りの長い人生をてきぱき判断できる冴えた頭で過ごすことができます。
腸が傷つくと認知機能が低下する
クルクミンは、血液脳関門を通過して神経炎症を鎮めることができる数少ない化合物のひとつです。
腸の状態が悪く、栄養素が吸収できないと、全身に影響がせっかくの利点が活用できないですからね。
腸は大事です。
食後すぐに寝ると、脳を休ませることができない
寝る直前に食事を摂ると、多くの血液が消化を助けるために腸に流れてしまい、脳に到達することができず、大事な脳の洗浄ができなくなってしまいます。
最後の食事を終えてから寝るまでの時間は、最低でも4時間は空けるようにしましょう。
オリーブオイルは全てを解決してくれる食材
なんといっても「エクストラバージンオリーブオイル」ですね。
オリーブオイルを摂取するだけで、炎症が抑えられ、オートファジーが促進され、新しい神経細胞の成長が促され、神経ネットワークを形成する樹状突起の再生が促進され、夜に洗浄されなかったアミロイドの悪影響から脳を守ることができます。
また、ナッツとオリーブオイルを摂取すると頭の回転が速くなることもわかっています。
瞑想やヨガは腸内環境も整える
瞑想やヨガを行うと、微生物叢が喜んで、脳をより良い状態にしてくれます。
瞑想やヨガの一番の利点は、ストレスが軽減されることです。
その結果、マイクロバイオームに良い変化がもたらされ、認知機能の向上につながります。
≪美しい見た目をつくる腸内細菌≫
体の外側の状態は体の内側の状態を反映しています。
腸粘膜が時間をかけて破壊され、薄くなると、それが毎日鏡に映る顔の肌にも反映されるわけですね。
私たちを太らせる「内分泌かく乱物質」
内分泌かく乱物質は、成長期や思春期を早めるだけでなく、年をとってからも体重を増やし続ける原因となります。
種類としては、以下のものが挙げられます。
・ビスフェノールA(BPA)
・フタル酸エステル類
・ヒ素
・アゾジカルボンアミド
・ブルーライト
ブルーライトが多ければブドウ糖を多く消費し、少なければ蓄積された脂肪を燃やすように指示されます。
肌は、腸粘膜の状態を反映している
加齢に伴う肌のトラブルは、皮膚の善玉菌の死滅と腸粘膜へのダメージが二大原因となります。
肌に役立つ成分としては以下のものが挙げられます。
・ポリフェノール
・ワイルドヤムエキス
ワイルドヤムには抗炎症作用、抗菌作用、抗酸化作用を持つ植物性のサポニンが含まれています。
≪骨も筋肉も若く保ちたいなら腸を鍛える≫
筋肉を「飢えさせて」ミトコンドリアを増やす
腸内環境を整えるナッツや野菜、オリーブオイルを多く摂取している閉経後の女性は、骨密度が高く、心臓病、糖尿病、がんのリスクが低いことも判明しています。
10代の頃に週3回以上の運動をしていた女性は、運動をしていなかった同世代の女性に比べて、閉経後の身長の減少(つまり骨の減少)が有意に少なかったこともわかっています。
筋肉が強ければ、骨も強くなるわけです。
現代の生活は筋肉を使わないようにできている
座りっぱなしの生活こそが老化の原因です。
短時間でも適切な運動をすれば、健康長寿と寿命の両方を飛躍的に延ばすことができます。
長時間同じ姿勢をとることがないよう、定期的に体を動かすようにしましょう。
過度な有酸素運動は寿命を縮める
適度な運動は抗酸化作用を促し、フリーラジカルによる酸化ストレスから体を守る一方で、消耗運動、つまり疲れるまで運動することはフリーラジカルによる酸化ストレスを作り出してしまいます。
何事も、“良い加減”が大事ということですね。
≪がんと心臓病のリスクは腸しだい≫
動物性タンパク質も心臓病の危険を招く
大学病院クリーブランドメディカルセンターで行われた600人以上の中年女性を対象とした研究では、微生物叢が多様性に富むほど、動脈の硬さが減少することが判明しました。
悪玉菌に支配されると、動脈が硬くなり、心臓病になる可能性が飛躍的に高まるということですね。
糖の過剰摂取が中性脂肪を蓄積させる
動物性タンパク質と単糖類の過剰摂取を避ければ、中性脂肪の増加を防ぐことができます。
肥満は健康にとってマイナスですのでね。
バランスよく食事をして、肥満とはおさらばしましょう。
エネルギー摂取を制限して細胞をリセットする
エネルギーを制限することで、がんではない健康な細胞のために、ミトコンドリアがより効率的にエネルギーを産生できるようになります。
以前、ファスティングに関してお話させていただきましたので、参考にしてみてください。
ファスティングに関しては、またしっかりとまとめてみたいと思います。
【まとめ】
・偏りのない多様な腸内細菌を育てることが大事
・プロバイオティクス、難消化性デンプン、食物繊維を日常的に摂れば、腸内フローラの善玉菌に栄養が行き渡り、代謝の土台が安定した状態になる
・腸内細菌郡であるマイクロバイオータを若く健康的に保つには、低脂肪で食物繊維が豊富な食材を摂取することがオススメ
・腸内細菌が大喜びする食材
;・リンゴ
・アスパラガス
・ココア
ビフィズス菌
・水溶性と不溶性両方の食物繊維を健全に摂取するのがいちばん
;・水溶性食物繊維の一日あたりの摂取量が10グラム増えるごとに、内臓脂肪がさらに3.7%減少する
・不溶性食物繊維は、腸内で空腹ホルモンを不活性化して満腹感を引き起こす機械受容器に影響を及ぼし、それを通じて脂肪減少を助ける
・加齢に伴う肌のトラブルは、皮膚の善玉菌の死滅と腸粘膜へのダメージが二大原因
・腸内環境を整えるナッツや野菜、オリーブオイルを多く摂取している閉経後の女性は、骨密度が高く、心臓病、糖尿病、がんのリスクが低い
・微生物叢が多様性に富むほど、動脈の硬さが減少する
【クイズ】
Q1:多様な腸内細菌を育てることができれば健康につながる。〇か×か。
Q2:食物繊維は水溶性食物繊維をしっかり摂っておけば、不溶性食物繊維はさほど重要ではない。〇か×か。
Q3:微生物叢がバラエティに富むと動脈に良い影響をもたらす。〇か×か。
回答
Q1の正解:〇
その通りですね
偏りのない多様な腸内細菌を育てることが大事ですね
Q2の正解:×
不溶性食物繊維も非常に大切な存在です
ここでもやはり“バランス”が大事になってきます
Q3の正解:〇
微生物叢が多様性に富むほど、動脈の硬さが減少することがわかっています
動脈硬化を予防するためには、腸内細菌に注目するのもいいかもですね
今回は、『腸力向上が期待できる食事』に関して簡単にまとめてみました。
次回からは、さまざまな病態に対する食事法を簡単にまとめていこうかと思います。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
【参考文献】
『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著
『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著
スティーヴン・J・シンプソン著
『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著
『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著
『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著
『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著
『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著
『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著
『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著
『この病気にはこの野菜』斎藤 嘉美監修
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