『良いアブラ』と『悪いアブラ』

食事

前回のブログで、「良いアブラ」を積極的に摂りましょう、という話をさせていただきましたが、実際にどんなアブラがあるのでしょうか。

今回は、そんなアブラを『良いアブラ』と『悪いアブラ』に分けてみていこうと思います。

≪脂質とは≫

一般的に脂質とは、油脂や脂肪酸、グリセリン、コレステロールなどを合わせた総称のことをいいます。

脂肪酸とは、その脂質を構成する成分の1つとなります。

脂質は長年にわたって悪者にされてきましたが、適切な脂質は、腹部の脂肪を減らし、関節痛をやわらげ、中性脂肪の値を引き下げ、乳がんのリスクさえ低減してくれると言われております。

『脂質』。これからは大事にしていきましょう!

脂質の重要な働き

以下に脂質の主な働きを列挙しましたので、参考までに。

・細胞膜の主要な構成成分

・エネルギー源(糖質やタンパク質の2倍以上のエネルギー価)

・脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)やカロテノイドの吸収を助ける

・コレステロールは細胞膜の構成成分のほか、ホルモンやビタミンDの前駆体となる

・体内で合成されない脂肪酸(オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸)は食事から摂らないといけない(必須脂肪酸)

《脂肪酸の分類と特徴》

脂肪酸は『飽和脂肪酸』と『不飽和脂肪酸』に分けられます。

そして、不飽和脂肪酸は、『トランス脂肪酸』、『一価不飽和脂肪酸』、『多価不飽和脂肪酸』に分けることができます。

一価不飽和脂肪酸は、『オメガ9脂肪酸』ともいわれます。

多価不飽和脂肪酸は、『オメガ3脂肪酸』と『オメガ6脂肪酸』に分けられます。

それぞれの脂肪酸の特徴

『良いアブラ』と言われる不飽和脂肪酸のそれぞれの特徴を見ていきましょう。

オメガ3脂肪酸

[種類]

・α-リノレン酸;亜麻仁油やアボカドなどに多く含まれる

・DHA(ドコサヘキサエン酸);サバやイワシ、アジなどの青魚に多く含まれる

EPA(エイコサペンタエン酸);サバやイワシ、アジなどの青魚に多く含まれる

[効果]

・α-リノレン酸:『血圧低下作用』;血管を拡張させ、血液の流れをスムーズにする

・DHA:『認知機能改善効果』

・EPA:『中性脂肪低下作用』

オメガ6脂肪酸

[種類]

・リノール酸;大豆油やごま油、クルミなどに多く含まれる

・アラキドン酸;卵黄や豚レバーなどに多く含まれる

・γ-リノレン酸;月見草油などに多く含まれる

[効果]

・リノール酸:血中コレステロールを低下させる

・アラキドン酸:・認知機能改善効果

        ・乳児の脳の発達に欠かせない脂肪酸として母乳に含まれる

・γ-リノレン酸:血糖値や血中コレステロールを低下させる

オメガ9脂肪酸

[種類]

・オレイン酸;オリーブオイルや、牛肉、アーモンドに多く含まれる

[効果]

・オレイン酸:冠動脈性心疾患のリスク低減効果

オメガ6とオメガ3の理想のバランス

では、実際にどんなアブラをどれくらい摂ればいいのでしょうか。

オメガ6やオメガ3でつくられた細胞膜や細胞は、体内でマグネットのように酸素を引き付けるので、細胞は酸素が豊かになって元気になるとのこと。

われわれの体を最適に働かせるには、オメガ3とオメガ6の両方が必要なんですね。

では、好きなだけオメガ6とオメガ3を摂取すればいいかというと、もちろんそんなことはなく、ここでもバランスが大事になってきます。

私が参考にした本では、理想の割合は、オメガ6:オメガ3=4:1と書かれていたのですが、他の資料では、オメガ6:オメガ3=2:1と書かれていました。

なので、絶対的な数値はないのかもしれませんが、確かに言えることとしては、オメガ3をより積極的に摂取する方が良いということ。

一般的な食生活を送る日本人は、オメガ6を過剰に摂取しているといわれているので、オメガ6を控えめに、オメガ3を積極的に摂るようなバランスを心がけることが大事ということになりますね。

バランスが崩れてしまうと死亡リスクが上がるとの報告もあります。

日本脂質栄養学会のホームページで掲載されているイギリスのコホート研究によると、オメガ6/オメガ3比率が高くなるほど、全死因死亡、がん死亡、心血管死亡のリスクが高まると報告しています。

これを見ると、「良いアブラ」でもバランスよく摂る必要があることが分かりますね。

オメガ3の方に天秤を傾ける1つの簡単な方法は、フラックスシード[亜麻、アマニの種子]を挽いて粉にしたものか、フラックスシードオイル[亜麻仁油、リンシードオイルとも言う]を摂ることになります。

これはまたα-リノレン酸の良質の摂取源でもありますので、積極的に摂取したいですな。

他にも、オメガ3の摂取を増やす最良かつ簡単な方法は、1週間に少なくとも200-300g分の魚介類を摂ることです。

アレルギーなどがなければ魚介類も積極的に摂り入れたい食材ですね。

僕は最初の食事でブルーベリーなどの果物を食べるのですが、そこに亜麻仁油をかけて食べるようにしています。

オリーブオイルと友達になろう

オリーブオイルは友達と思えるくらい積極的に摂りたい『良いアブラ』になります。

オリーブオイルは、オメガ9脂肪酸、とりわけLDLコレステロールを低下させるオレイン酸の良質な供給源です。

ただし、オリーブオイルの中でも最高品質である一番搾りのエキストラ・バージン・オリーブオイルだけを買って摂取することが重要になります。

なぜエキストラ・バージン・オリーブオイルが良いのでしょうか。

それは健康効果が非常に高いからですね。

LDLコレステロールに対する酸化作用を低減することについて、すべてのグレードのオリーブオイルの中で最大の効果を発揮することが判明しているだけでなく、C反応性タンパク(CRP)のような血中炎症性バイオマーカーを下げることもわかっています。

もちろん他にもいい面があります。

老化をもたらす酸化ストレスと炎症の蔓延からDNAを守る最良の方法の1つが、オリーブオイルの摂取になります。

エキストラ・バージン・オリーブオイルに含まれるオレオカンタールは、フェノール系抗酸化物質として医学界で注目を集めるほどです。

オレオカンタールは、体内にある酵素シクロオキシゲナーゼ(COX-2)の生成を抑制して、炎症を抑制することが判明しています。

また、神経保護作用があり、アルツハイマー病に関連付けられている炎症マーカーを減らすのにも効果があると言われています。

健康効果高すぎますね。

ちなみに僕も、サラダにオリーブオイルをかけて摂取するように努めています。

実は体によい「飽和脂肪酸の真実」

飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、肥満や高LDLコレステロール血症を招き、心筋梗塞などの循環器疾患の発症リスクを高めてしまうと言われています。

このような事実から、飽和脂肪酸は体に悪いというイメージを持たれている人も多いのではないでしょうか。

しかし、実は飽和脂肪酸は摂り過ぎなければ体に良いとのこと。

実際に以下のような報告があります。

合成されたトランス脂肪酸を摂ると、小さく密度の低いLDLコレステロールのほうが増えてしまうが、飽和脂肪酸を摂れば、大きくふかふかした良性のLDLコレステロールを増やしてくれるだけでなく、体内にある小さく低密度のLDLコレステロールを大きくふかふかした、心臓疾患に影響しないLDLコレステロールに変える可能性もある、と。

ちなみに精製された砂糖や炭水化物を含む食べ物(たとえばパン、ベーグル、炭酸飲料)を摂ることでも、小さく低密度のLDLコレステロールが増えると言われております。

気をつけたいところですね。

ですので、基本的には体によい脂肪をたっぷり摂り、精製された植物油、つまりトランス脂肪酸は摂らないようにすることが大事だということですね。

≪避けるべき『悪いアブラ』≫

「トランス脂肪酸」の恐怖

先程も出てきましたが、摂取すべきでない脂肪に「トランス脂肪酸」があります。

加工食品にはトランス脂肪酸が多く含まれていると聞いたことありませんか。

トランス脂肪酸が嫌われる理由としては…

・LDLコレステロールを増やすだけでなく、HDLコレステロールを減らしてしまう

・動脈硬化などによる心疾患にかかるリスクを高める

などがあります。

そんなトランス脂肪酸ですが、アブラの製造過程やわれわれのアブラの使い方で生じてしまうとのこと。

トランス脂肪酸が生じる主な条件は以下のようになります。

・液体のアブラ(植物油など)に水素を添加して硬化させ、固形にする場合

つまり、マーガリンとショートニングのようなアブラですね

・液体のアブラ(植物油など)を高温で揚げたり、炒めたりする場合

これは、高温で調理された食べ物ということになります。

摂るだけで有害なトランス脂肪酸ですが、残念な事実をもうひとつ。

なんと、トランス脂肪酸の有害な成分が体の中で半分に減る期間は120日

すべてなくなるのに240日もかかるんだと。

8カ月なんてもうほぼ1年ですよね。かなりの長期間です…。

トランス脂肪酸とは、極たまに会う友達ぐらいの感覚がいいのかもしれないですね。

【まとめ】

・適切な脂質は、腹部の脂肪を減らし、関節痛をやわらげ、中性脂肪の値を引き下げ、乳がんのリスクさえ低減してくれる

・一般的な食生活を送る日本人は、オメガ6を過剰に摂取している

➝オメガ6を控えめに、オメガ3を積極的に摂るようなバランスを心がけることが大事

・オメガ6/オメガ3比率が高くなるほど、全死因死亡、がん死亡、心血管死亡のリスクが高まる

・オリーブオイルは、LDLコレステロールを低下させるオレイン酸の良質な供給源

・オリーブオイルの中でも最高品質である一番搾りのエキストラ・バージン・オリーブオイルだけを買って摂取する

 ;LDLコレステロールに対する酸化作用を低減することについて、すべてのグレードのオリーブオイルの中で最大の効果を発揮することが判明+炎症性バイオマーカーを下げることもわかっている

・老化をもたらす酸化ストレスと炎症の蔓延からDNAを守る最良の方法の1つが、オリーブオイルの摂取

・エキストラ・バージン・オリーブオイルに含まれるオレオカンタールは、

体内にある酵素シクロオキシゲナーゼ(COX-2)の生成を抑制して炎症を抑制する+神経保護作用があり、アルツハイマー病に関連付けられている炎症マーカーを減らす

・飽和脂肪酸は、心臓疾患に影響しないLDLコレステロールに変える可能性もある

・トランス脂肪酸が嫌われる理由

;・LDLコレステロールを増やすだけでなく、HDLコレステロールを減らしてしまう

・動脈硬化などによる心疾患にかかるリスクを高める

・トランス脂肪酸の有害な成分が体の中で半分に減る期間は120日

【クイズ】

Q1:一般的な食生活を送る日本人は、オメガ3を過剰に摂取しているので、オメガ3を控えめに、オメガ6を積極的に摂るようなバランスを心がけることが大事。〇か×か。

Q2:友達ともいえる存在にすべきアブラは以下のうちどれか。

 ①マーガリン ②オリーブオイル ③ガソリン

Q3:距離を置いた方が良い脂肪酸は以下のうちどれか。

 ①オメガ3脂肪酸 ②オメガ9脂肪酸 ③トランス脂肪酸

回答

Q1の正解:×

 逆ですね。一般的な食生活を送る日本人は、オメガ6を過剰に摂取していますので、オメガ6を控えめに、オメガ3を積極的に摂るようなバランスを心がけることが大事です。

Q2の正解:②

 オリーブオイルの中でも特に最高品質である一番搾りのエキストラ・バージン・オリーブオイルと友達になりましょう。

Q3の正解:③

 加工食品に多く含まれているトランス脂肪酸とは是非とも距離を置きましょう。

今回は、『良いアブラ』と『悪いアブラ』に関してみてみました。

『良いアブラ』を積極的に摂りたいですね。

次回は、“運動”に関してみていこうかと思います。

以前、体脂肪のお話をさせていただきましたが、体脂肪を減らすためにはやはり“運動”も重要ですからね。簡単にまとめてみたいと思います。

次回もよろしくお願いします。

『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』

【参考文献】

『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著

『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著

     スティーヴン・J・シンプソン著

『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著

『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著

『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著

抗酸化による老化防止の効果 | 健康長寿ネット
活性酸素によって酸化を抑えることを、抗酸化と言い、活性酸素から体を守ることを抗酸化作用と言います。体内で増えた活性酸素を除去していくことが、老化や、がん、生活習慣病などの予防になります。本頁では、抗酸化による老化防止の効果、抗酸化物質(ビタ...

『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著

『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著

『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著

『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著

『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著

https://www.bing.com/ck/a?!&p=fb3afcff630df76aJmltdHM9MTcxNTIxMjgwMCZpZ3VpZD0yMWI4M2I3Yy05MWE2LTY3N2QtMmZiMS0zNzQ3OTAzZDY2ZGImaW5zaWQ9NTIwMA&ptn=3&ver=2&hsh=3&fclid=21b83b7c-91a6-677d-2fb1-3747903d66db&psq=%e6%97%a5%e6%9c%ac%e8%84%82%e8%b3%aa%e6%a0%84%e9%a4%8a%e5%ad%a6%e4%bc%9a&u=a1aHR0cDovL2pzbG4udW1pbi5qcC8&ntb=1

コメント

タイトルとURLをコピーしました