大切なのはバランスの取れた食事

食事

今回は、食事のバランスの大切さを簡単にまとめてみようと思います。

以前の記事で、「糖質」と「脂質」に関してはそれなりに触れていますので、今回はタンパク質をメインにお話できればと思います。

≪食事制限と老化≫

一般に食事制限が寿命を延ばすことはよく知られていますが、それはなぜなのでしょうか。

1つとして、カロリー制限が長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子を活性化するからと考えられております。

そして、もう一つとして、カロリー制限が細胞老化を促進するmTORを抑制するからではないかと考えられているんですね。

健康寿命に影響する「mTOR酵素」

ここで着目したいのが、「mTOR」です。

mTORを説明するために、細胞の成長や増殖に関して簡単にお話させていただこうかと思います。

細胞外の栄養が豊富な状態では、細胞は大きく成長し、分裂を繰り返して増殖します。

反対に、細胞外の栄養が枯渇すると、細胞の成長・増殖は止まります。

で、この制御に中心的な役割を果たしていると言われるのが、先程でてきました「mTOR」になります。

このmTORは、がん、糖尿病、肥満、動脈硬化、骨粗鬆症、アルツハイマー病、関節炎などの加齢関連疾患に関与していることもわかってきております。

mTORが活性化すると、これらの加齢関連疾患が起こりやすくなってしまうわけですね。

では、mTORを活性化するものは何かといいますと、インスリンや成長因子、富栄養などが挙げられます。

その中でもmTORに対する刺激がもっとも大きいのは、タンパク質に由来するアミノ酸なんだとか。

ですので、タンパク質を過剰に摂取すると、過剰にmTORを活性化してしまい、しまいには加齢関連疾患を引き起こしてしまう事態に…。

そう考えますと、アミノ酸はもちろんのこと、血中の糖、インスリン、成長ホルモン(IDF-1など)を低く抑えてmTORを刺激しないようにして、その働きを適切に抑える必要がありそうですね。

「老化のスピード」を食事でコントロール

いったん生殖可能年齢を超えたら、寿命や健康寿命のほうを延ばすため、タンパク質の摂取を制限してmTORを抑制することが望ましいとのこと。

老化のスピードを遅くしたいなら、タンパク質の量を細胞の修復に必要な量に制限すればよいということです。

ただし、mTOR抑制のルールが適用されないグループもありまして、それは65歳以上の人々になります。

この年齢層では筋肉量の減少を防ぐためにむしろタンパク質を摂ることが重要だといいます。

年齢によって変わってきますので、注意が必要ですね。

≪摂りすぎると怖いタンパク質≫

ここまで、mTORに関連してタンパク質の過剰摂取が老化疾患を引き起こす可能性についてみてきましたが、もう少し違う観点からもみていきたいと思います。

単純な「カロリー制限」より「タンパク質制限」でカロリー調整を

ただ、単純にカロリー制限するよりもタンパク質(特に肉に多く含まれるメチオニンというアミノ酸)の摂取量を減らすことのほうが体によい影響を与えることがわかっていますので、ここで今一度復習がてら“焼肉”の話をさせていただきますね。

以前の記事で「焼肉は食べすぎ注意!」みたいな話をさせていただいたかと思います。

なぜかと言いますと、タンパク質の過剰摂取は、ホモシスティンの原料であるメチオニンの摂取を増やすことから、ホモシスティン値を上昇させるリスクがあります。

血中ホモシスティン濃度が上がると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中を招くこと、また認知症やがんのリスクも高まると言われています。

赤い肉は減らし、加工肉は排除しよう

唐突ですが、タンパク質で思い浮かぶものは、やはり“肉”ですよね。

ついさっきまで焼肉の話をしていたので、そりゃそうだって感じですが。

牛肉、豚肉、鶏肉など様々な肉が存在しますが、ここで注目したいのは、「赤い肉」になります。

赤い肉の摂り過ぎは、体に悪影響を及ぼすと…。

焼肉が大好きな僕にとっては、この事実を知ったときにはショックでした。

まぁゼロにしろと言われているわけではないので、絶望まではしませんでしたが…。

米国がん研究協会と世界がん研究基金によると、現在その悪影響リストのトップは、大腸がんにかかるリスクだと言います。

多量のタンパク質を鉄分と混ぜると、たとえばN-ニトロソ化合物(NOC)と呼ばれる、あまり嬉しくない一連の化学物質が生成されてしまうんだとか。

これは、腸に作用する非常に強力な発がん性物質として知られています、。

肉ががんを引き起こしてしまうと考えると恐怖ですよね…。

もう聞きたくないかもしれませんが、もう一つ悲しい事実を。

赤い肉を大量に食べると、腸内フローラが、肉に含まれている天然の物質カルニチンをトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)と呼ばれる毒性化合物に変えてしまうと考えられているんですね。

この化合物は心血管系に大損害をもたらすことがわかっています。

また、微生物がこのカルニチンをTMAOに変換する程度は、赤い肉を多く摂る人でより高くなっているようです。

こう見ると、赤いお肉の摂取も摂り過ぎないように注意しないといけませんよね。

《がんの原因は「食事」による代謝異常だった!?》

先程からでてきておりますが、食事でがんが誘発されてしまうと。

がんが食事から引き起こされると聞いたらちょっとびっくりしますよね。

僕は最初この事実を知ったとき、結構驚きでした。

でも、がんは食事が引き起こすものと伝えている資料はたくさんあります。

バランスを欠いた食事が諸悪の根源であるといい、がんは遺伝子の異常ではなく「代謝の異常」によって引き起こされるとも言っています。

加えて、ちょっとショッキングな事実も。

直腸がんの70%、乳がんの50%は食事に関係している」という事実が報告されています。

やはり食事ががんの発生に関与してしまっているということになってしまいますね。

なんともまぁ怖い事実…。

でもきちんと気をつけて食事をすれば問題はありません。

以前の記事で書かせていただいた「良いアブラ」がここでまたまた登場です。

「良いアブラ」に分類される「多価飽和脂肪酸」は、体の中で酸素を引き付けるマグネットのような役割を果たすので、酸素がたくさん集まって、がんが発症しにくい環境をつくってくれるんだとか。

なので、積極的に摂りたいものですね。

また、「良いアブラ」は心臓病を引き起こすどころか、予防の働きさえしてくれるともいいます。

もう摂取しないという選択肢はありませんね。

前回もお話させていただきましたが、僕自身もMCTオイル、亜麻仁オイル、オリーブオイルなどを積極的に摂取するようにしています。

【まとめ】

・細胞の成長・増殖の制御に中心的な役割を果たしているのが、「mTOR」

・mTORは、がん、糖尿病、肥満、動脈硬化、骨粗鬆症、アルツハイマー病、関節炎などの加齢関連疾患に関与している

・mTORに対する刺激がもっとも大きいのは、タンパク質に由来するアミノ酸

・いったん生殖可能年齢を超えたら、寿命や健康寿命のほうを延ばすため、タンパク質の摂取を制限してmTORを抑制することが望ましい

・腸内フローラが作り出すTMAOは、心血管系に大損害をもたらす

・赤い肉の摂り過ぎは、大腸がんにかかるリスクを高める

・NOCは、腸に作用する非常に強力な発がん性物質

・「多価飽和脂肪酸」は、がんが発症しにくい環境をつくってくれる

・「良いアブラ」は心臓病を引き起こすどころか、予防の働きさえしてくれる

【クイズ】

Q1:mTORは加齢関連疾患に関与している。〇か×か。

Q2:mTORに対する刺激がもっとも大きいのは以下のうちどれか。

 ①糖質 ②脂質 ③タンパク質

Q3:赤い肉の摂り過ぎが最もリスクを高める疾患は以下のうちどれか。

 ①糖尿病 ②大腸がん ③高脂血症

回答

Q1の正解:〇

 mTORは、がん、糖尿病、肥満、動脈硬化、骨粗鬆症、アルツハイマー病、関節炎などの加齢関連疾患に関与しています

Q2の正解:③

 mTORに対する刺激がもっとも大きいのは、タンパク質に由来するアミノ酸です

Q3の正解:②

 赤い肉の摂り過ぎは、大腸がんにかかるリスクを高めます

多量のタンパク質を鉄分と混ぜると発生するN-ニトロソ化合物(NOC)は、腸に作用する非常に強力な発がん性物質です

ここまで、タンパク質の過剰摂取が怖い病気を引き起こすことや、バランスを欠いた食事が怖い病気を引き起こすことをみてきました。

何事も過不足なく、適切なバランスをとることが大事だということを感じていただけたら嬉しいです。

次回は、“腸内細菌”に関してみていこうかと思います。

「食」と「腸内細菌」は切り離せない存在ですからね。

次回もよろしくお願いします。

『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』

【参考文献】

『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著

『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著

     スティーヴン・J・シンプソン著

『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著

『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著

『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著

抗酸化による老化防止の効果 | 健康長寿ネット
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『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著

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『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著

『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著

『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著

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