今回からは、「快眠に導くナイトルーティン」を紹介していきます。
最初は「深部体温」編です。
【快眠に導くナイトルーティン】
〖今回のポイント〗
・深部体温は睡眠調節に深く関与している
・睡眠は深部体温の低い時間帯に起こるようになっており、深部体温が高い時間帯には起こりにくい
・人間の体には「深部体温が下がると眠くなる」性質があるため、睡眠に入るときは「深部体温が下がる」ことが必要になる
・深部体温を下げるメカニズム;皮膚温度を上げることによる「熱放散」
・皮膚温度を「上げ」、手足にたくさんある毛細血管から熱放散することで、効率的に深部体温を「下げて」いる
・スムーズな入眠に際しては深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることが鍵
・冷え性で手足が冷たくなりやすい人は、熱を逃がすのが難しいために、深部体温が下がりにくくなり、入眠が難しくなってしまう
・徹夜で帰宅した後、日中に眠ろうと寝床に入ってもぐっすりと眠れないのは、日中なので体内の温度が上昇したままの状態であるから
・体内活動によって深部体温が下がってきたところで眠れれば、寝つきが早くなり、質の良い睡眠に入れる
《深部体温へのアプローチ》
深部体温は、視床下部の視交叉上核の体内時計に従って約24時間の概日リズムを示し、昼間は高く、就寝時には低くなり、睡眠調節に深く関与していることがわかっています。
そして、睡眠は深部体温の低い時間帯に起こるようになっており、深部体温が高い時間帯には起こりにくいです。
このように人は、深部体温が上がると活動が活発になり覚醒しやすくなり、下がると眠くなるという仕組みが備わっているわけですね。
ここで重要なのは、人間の体には「深部体温が下がると眠くなる」性質があるため、睡眠に入るときは「深部体温が下がる」ことが必要になるということです。
では、「深部体温を下げる」ためにはどうすれよいのでしょうか。
そこは御安心を。もちろん人間には深部体温を下げるメカニズムも備わっております。
それが、皮膚温度を上げることによる「熱放散」になります。
「赤ちゃんの手足が温かくなってきたら眠くなってきたサイン」なんて聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
僕もよくおばあちゃんが言っていたのを思い出します。
いったん皮膚温度を「上げ」、手足にたくさんある毛細血管から熱放散することで、効率的に深部体温を「下げて」いるのですね。
ですので、「いかに夜、皮膚温を上げて熱を放散し、深部体温を下げるか」という体温の“意図的な上げ下げ”を意識したアプローチが重要になってくるわけです。
このように、皮膚の表面から熱が放散されて深部体温が下がることで、体がリラックスモードに切り替わり、眠気が誘発されるわけです。
スムーズに心地よく眠りに就くためのポイントは、深部体温のコントロールにあることは御理解いただけたかと思います。
言い換えると、スムーズな入眠に際しては深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることが鍵ということになりますね。
そうです。大切なのは「皮膚温度と深部体温の差を縮めること」なのです。
では実際に、どの程度まで縮まっていくのでしょうか。
最終的には、深部体温と皮膚温度の差は2℃以下に縮まるといわれています。
このように、皮膚温度と深部体温の差が縮まったときに入眠しやすくなるわけです。
手足からの熱放散が活発になり、深部体温が下がったこのタイミングで眠るのがベストだということです。
ちょっとだけ脱線を。
冷え性の人は入眠困難になりやすいとよく言われますが、先程の話を振り返ると納得できるのではないでしょうか。
冷え性で手足が冷たくなりやすい人は、熱を逃がすのが難しいために、深部体温が下がりにくくなり、入眠が難しくなってしまうわけですね。
実際に、手の末梢皮膚温の低い人ほど入眠困難が強いことが報告されております。
気温が高かったり、湿度が高かったりすると眠りにくいのは、皮膚から熱が逃げにくい状況だからですね。
このように環境温なども大事になってきますので、それはまた次回細かく触れていきたいと思います。
ここからは脱線の脱線を。
遊び惚けた後の朝帰りや夜勤明けなどで日中に眠ろうとしたときに、いつもより寝つきが悪いなと感じたことありませんか。
もしくはすぐに眠れてもすぐに起きてしまったり、ぐっすり眠れなかったなどの経験はないでしょうか。
1日の中で眠気の変動は体内の温度と連動していることが、上記のことからわかるかと思います。
徹夜で帰宅した後、日中に眠ろうと寝床に入ってもぐっすりと眠れないのは、日中なので体内の温度が上昇したままの状態であるからなんですね。
ついでに言うと時差ぼけなんかもこの体温の関係から説明ができますね。
すいません。話を戻しましょう。
体温の低下は、体のすべての細胞にある体内時計に、夜が始まって眠りの準備を開始する時間がきたことを知らせる合図となります。
就寝直前の手足の皮膚温度の上昇は、脳にとっても「体温を下げ、眠りの準備を始める時間がきた」という合図になります。
これまで述べてきたように、体内活動によって深部体温が下がってきたところで眠れれば、寝つきが早くなり、質の良い睡眠に入れるということがわかっていただけたかと。
是非、皆さんも睡眠の質の向上のために、「体温」に着目してみてくださいね。
次回は、深部体温を操るアプローチ法をみていきます。実践編ですね。
【まとめ】
・深部体温は睡眠調節に深く関与している
・睡眠は深部体温の低い時間帯に起こるようになっており、深部体温が高い時間帯には起こりにくい
・人間の体には「深部体温が下がると眠くなる」性質があるため、睡眠に入るときは「深部体温が下がる」ことが必要になる
・深部体温を下げるメカニズム;皮膚温度を上げることによる「熱放散」
・皮膚温度を「上げ」、手足にたくさんある毛細血管から熱放散することで、効率的に深部体温を「下げて」いる
・スムーズな入眠に際しては深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることが鍵
・冷え性で手足が冷たくなりやすい人は、熱を逃がすのが難しいために、深部体温が下がりにくくなり、入眠が難しくなってしまう
・徹夜で帰宅した後、日中に眠ろうと寝床に入ってもぐっすりと眠れないのは、日中なので体内の温度が上昇したままの状態であるから
・体内活動によって深部体温が下がってきたところで眠れれば、寝つきが早くなり、質の良い睡眠に入れる
【クイズ】
Q1:快眠を得るためには体温調節が重要だ。〇か×か。
Q2:良質な睡眠のために下げるべきものとして最も適しているのは以下のうちどれか。
①皮膚温度 ②深部体温 ③貯金額
Q3:スムーズな入眠に際しては深部体温と皮膚温度の差が開いていることが鍵。〇か×か。
回答
Q1の正解:〇
めちゃくちゃ重要です
体温調節の質で睡眠の質は大きく変わると言っても過言ではありません
Q2の正解:②
人間の体には「深部体温が下がると眠くなる」性質があるため、睡眠に入るときは「深部体温が下がる」ことが必要になります
Q3の正解:×
逆ですね。
スムーズな入眠に際しては深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることが鍵です
今回は、「快眠に導くナイトルーティン」として“深部体温”に焦点を当ててみてきました。
短くて申し訳ないです。
次回は、深部体温を操るアプローチ法を見ていきたいと思います。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
参考文献
『よく眠るための科学が教える10の秘密』リチャード・ワイズマン著
『スタンフォード式 最高の睡眠』西野 精治著
『賢者の睡眠 超速で脳の疲れを取る』メンタリストDaiGo著
『一流の睡眠』裴 英洙著
『睡眠こそ最強の解決策である』マシュー・ウォーカー著
『世界の最新論文と450年企業経営者による実践でついにわかった 最強の睡眠』西川 ユカコ著
『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』ショーン・スティーブンソン著
『最高の体調』鈴木 祐著
『ぐっすり眠る習慣』白濱 龍太郎著
『世界最高のスリープコーチが教える 究極の睡眠術』ニック・リトルヘイルズ著
『Sleep,Sleep,Sleep』クリスティアン・ベンディクト著 ミンナ・トゥーンベリエル著
『最高のリターンをもたらす超・睡眠術 30のアクションで眠りの質を高める』西野 精治著 木田 哲生著
『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』鈴木 祐著
『眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法』田中奏多著
『熟睡者』クリスティアン・ベンディクト著 ミンナ・トゥーンベリエル著
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