今回は、『腸内細菌』に関してみていこうと思います。
≪食と健康を考える上で切っても切り離せないのが「腸内細菌」≫
腸内細菌が我々の健康の運命を握っている
我々人間の遺伝子は健康や長寿を決定する上で比較的小さな役割を果たしているにすぎないんだとか。
いきなりなんだよって感じですよね。でも、事実みたいなんです。
なんと、我々の遺伝子よりも個人の腸内細菌の構成の方が、血糖値や肥満などの多くの健康状態の予測因子となりうるといっても過言ではないみたいです。
ちょっと衝撃ですよね。
さらに極端に言うと、我々は自分が食べたもので作られるのではなく、細菌が消化したもので作られていると。
我々が腸内細菌に栄養を与えているのではなく、我々が腸内細菌に生かされているということなんでしょうか。
そう考えると、なんだか不思議な感覚ですよね…。
まずは、腸内環境を壊す要因をいくつかみていこうかと思います。
食べ物が腸内細菌を傷つける
細菌にとって最も問題となるのは、レクチンと呼ばれる化合物なんだそう。
レクチンとは、植物が食べられるのを防ぐために作る「粘着性のあるタンパク質」のこと。
植物も長生きして自分のDNAを次の世代に伝えるために、生存戦略の一環としてレクチンを産生しているわけですね。
このレクチンを含んだ植物を食べれば食べるほど、腸内環境は悪化していきます。
腸内環境が悪くなれば、レクチンは腸内細菌の棲み処をより荒廃させていきます。
その結果として、肥満や疲労感、体の痛みや病気が引き起こされてしまうわけですね。
ちなみに、レクチンは腸内細菌だけでなく、我々の腸管にも影響を及ぼすみたいです。
レクチンには、腸管を覆う粘膜細胞の間のタイトジャンクション(密着結合)をこじ開ける作用があり、それによって引き起こされるのが「リーキーガット」。
リーキーガットは、腸壁バリアが壊れて隙間ができ、腸内にあるべき細菌や食物成分が身体の中に入ってしまう現象をいいます。
リーキーガットは多くの病気を引き起こす原因になりますので、レクチンへの対策は腸内細菌にとっても我々にとっても重要なことのようです。
レクチンを含む食材はさまざまありますが、「摂り過ぎ」には注意したいところ。
玄米、パン、パスタ、蕎麦、シリアル、ジャガイモ、砂糖、豆類、豆腐、枝豆、ピーナッツ、チアシード、トマト、ナス、キュウリ、カボチャ、メロン、トウモロコシなどなど。
腸内細菌のために完全にレクチンとお別れした食事にするという選択肢でもいいのですが、調整して摂り入れるという形でもいいのかなと個人的には思います。
なぜなら、これらの食材の中に僕自身が好きなものが含まれているので…。
麺好きなので、パスタや蕎麦が食べられないとなると悲しくなりますし、ジャガイモやトマトやナスやキュウリは好きな野菜の代表格ですし、湯豆腐も好きですし…。
もちろん、レクチンフリー・ダイエットを頑張っている人には尊敬の念を持ちますが。
でも、完全にレクチンフリーの食事をするのも大変ですし、食の楽しさも奪ってしまいかねないのかなぁという僕個人的な意見もあります。
僕的には、食には楽しさも求めていますので…。
以前からお話させてもらっているとおり、やはり何事もバランスが大事かなと思います。
個人的な話が多くなってすいません。
人工的な甘みにも注意
人工的に作られた甘みである人工甘味料も危険なんだとか。
スクラロース、サッカリン、アスパルテームなどの栄養価の低い人工甘味料は、腸にいる善玉菌を殺し、悪玉菌を増殖させるとの報告があります。
なんと、人工甘味料のスプレンダ1包で正常な腸内フローラ(腸内細菌叢)の50%が死滅してしまうんだとか。
美味しさに負けて人工甘味料を口にするということは、腸内環境を悪化させる一因になるということですね。
甘味は人工物ではなく、自然なもので摂りたいものですね。
僕の場合は、なるべく人工甘味料は避けて、ハチミツで甘味を調整するようにしています。
抗生物質で焼け野原
風邪をひいてお医者さんにかかった時に、抗生物質を一緒に渡されることありますよね。
あれ、何も考えずに飲まない方がいいかもしれません。
基本、風邪の原因はウイルスであって、細菌ではありません。
抗生物質は細菌を退治する薬であって、ウイルスを退治する薬ではないため、風邪を治すという観点からは意味がありません。
では、なぜお医者さんは抗生物質を処方するのでしょうか。
考えられる一因としては、ウイルス感染で弱った体は、細菌にも感染しやすい状態になっているため、二次的な細菌感染を防ぐ目的で予防的に抗生物質を処方していると考えられます。
優しさで処方してもらった抗生物質ですが、腸内細菌にとっては大迷惑。
細菌を殺す殺戮者である抗生物質は、誰彼かまわず攻撃しますので、善玉菌であろうと容赦ありません。
抗生物質を投与された腸内はもう、焼け野原状態ですね。
こんな報告もあります。
「抗生物質を服用するたびに、後にクローン病、糖尿病、肥満、喘息などを発症する可能性が高くなる」と。
良かれと思って飲んでいた薬で、新たな病気が引き起こされてしまったら元も子もないですよね。
薬もしっかり考えて飲む必要がありそうです。
痛み止めが腸を壊す
風邪薬に関係してもう1つ。
風邪の際に喉の痛みなど、痛みを伴う症状があったりすると、解熱鎮痛薬も処方されますよね。
あれもまた、腸にとっては厄介なものなのです。
最も一般的な原因のひとつは、イブプロフェン、ナプロシン、アリーブ、アドビル、セレブレックス、モービックなどの非ステロイド系抗炎症剤・鎮痛剤(NSAIDs)の使用です。
このNSAIDsが、実は腸管バリアに大きな穴を開けているというのです。
また、この痛み止めを処方されるときに、胃の粘膜を荒らさないようにと、胃酸の分泌を抑制するお薬(PPI)を処方されることがありますが、これもまたマイナスに働くと。
ある研究では、PPIの累積使用量と認知症リスクに有意な関連性が認められたことが分かっています。
他にも、2016年にドイツで行われた研究では、75歳以上の7万4000人のうち、こうした薬を飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて認知症のリスクが44%増加するという結果になったということです。
PPIの使用と慢性腎臓病との関連も指摘されていますので、これもまた考え物ですよね。
≪腸内細菌が我々を肥満にさせる!?≫
先程も触れましたが、腸内細菌は肥満とも関連しているそうです。
腸内細菌の構成が肥満を引き起こし得ると。
腸内細菌の多様性によって体重にも影響がでてきてしまうということになります。
科学ジャーナル「インターナショナル・ジャーナル・オブ・オベシティ」で発表された研究から、腸内細菌の多様性の高さは体重増加の少なさと直接的な相関関係があり、カロリーの摂取をはじめとするさまざまな要因を抜きにしてエネルギーの代謝の向上を招くことがわかりました。
他にも、科学ジャーナル「BMCマイクロバイオロジー」に掲載された研究では、肥満の人は、標準体型や痩せ型の人に比べてフィルミクテス門に属する細菌の量が多く、バクテロイデス門に属する細菌の量が少ないことが明らかにされています。
つまり、腸内に存在するフィルミクテス門の比率がバクテロイデス門より高いと、より効率的に食べ物からカロリーが吸収されやすくなるわけです。
その結果、より多くの栄養素が、無駄として捨てられることなく血流に侵入し、最終的に脂肪として体内に貯蔵されてしまうということですね。
細菌の比率と体重には直接的な相関関係が見受けられ、体重がある人ほどフィルミクテス門の比率も高くなることがわかっています。
腸内細菌の多様性が大切ということですので、さまざまな健康的な食材を摂取することで、腸内細菌を元気にすると同時に、細菌の比率に偏りが出ないようにすることが大事ということですね。
【まとめ】
・レクチンを含んだ植物を食べれば食べるほど、腸内環境は悪化
➝結果として、肥満や疲労感、体の痛みや病気が引き起こされてしまう
・レクチンには、腸管を覆う粘膜細胞の間のタイトジャンクション(密着結合)をこじ開ける作用があり、それによって引き起こされるのが「リーキーガット」
・人工甘味料は、腸にいる善玉菌を殺し、悪玉菌を増殖させる
・抗生物質を投与された腸内は、焼け野原状態
;大切な善玉菌も殺されてしまう
・解熱鎮痛薬であるNSAIDsが、腸管バリアに大きな穴を開けている
・PPIの累積使用量と認知症リスクに有意な関連性が認められた
・腸内細菌の多様性の高さは体重増加の少なさと直接的な相関関係があり、かつエネルギーの代謝の向上を招く
・腸内のフィルミクテス門の比率がバクテロイデス門より高いと、より効率的に食べ物からカロリーが吸収されやすくなる
➝脂肪がたまりやすくなる
【クイズ】
Q1:レクチンが引き起こす腸管への影響として考えられるのが「リーキーガット」である。〇か×か。
Q2:腸内細菌に多大な悪影響を及ぼすものではないのは次のうちどれか。
①人工甘味料 ②抗生物質 ③発酵食品
Q3:腸内のフィルミクテス門の比率がバクテロイデス門より高いと肥満になりやすい。〇か×か。
回答
Q1の正解:〇
レクチンには、腸管を覆う粘膜細胞の間のタイトジャンクション(密着結合)をこじ開ける作用があり、それによって引き起こされるのが「リーキーガット」です
リーキーガットは多くの病気を引き起こす原因になりますので、レクチンへの対策は腸内細菌にとっても我々にとっても重要なことですね
Q2の正解:③
発酵食品は腸内細菌が喜ぶ食材ですね
是非摂り入れたい食材ですね
Q3の正解:〇
その通り
腸内のフィルミクテス門の比率がバクテロイデス門より高いと、より効率的に食べ物からカロリーが吸収されやすくなるので、結果的に脂肪がたまりやすくなります
今回は、腸内細菌とわれわれの健康への関係をみてきました。
健康でいるためには、腸内細菌にも気を配る必要がありそうですね。
次回は、腸内細菌への優しさが大事だよ~って話を簡単にさせていただければと思います。
次回もよろしくお願いします。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
【参考文献】
『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著
『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著
スティーヴン・J・シンプソン著
『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著
『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著
『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著
『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著
『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著
『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著
『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著
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