今回も前回に引き続いて、『腸内細菌』に関してみていこうと思います。
前回は腸内細菌に優しくしないとどんな悪いことが起こるかをみました。
今回は逆に優しくするとどんないいことが待っているのかをみていきたいと思います。
≪腸への優しさで我々は守られる≫
腸を守ることで病気を防げる!?
前回、腸を壊す要因についてみてきましたので、今度は腸を守る方を見ていきましょう。
いきなりではありますが、腸の壁を強化してくれる物質としては、「酪酸」と「ポリアミン」が挙げられます。
まずは、「酪酸」から見ていきましょう。
酪酸は短鎖脂肪酸の一種でありまして、以下のような作用を持ちます。
・ミトコンドリアの機能を向上させ、ミトコンドリアにおける脂肪とグルコースの代謝を調整し、抗肥満作用と抗糖尿病作用を発揮
・がん細胞の増殖を抑制することでがんから体を守る
・脳のミトコンドリア活性を高めることで脳の健康を促す
ありがたい作用ばかりですね。
他にも、「アルツハイマー病が進行したマウスに酪酸を投与したところ、学習能力が著しく向上した」との報告もあります。
プレバイオティクス(特定の有益な細菌が好む食品)をたくさん食べるほど細菌が酪酸を生成するようになりますので、積極的に摂っていきたいですね。
続いては「ポリアミン」です。
ポリアミンは、腸内細菌によって作り出され、腸内細菌によって細胞内に運ばれるとそこで細胞の成長、分化、生存に重要な役割を果たします。
ポリアミンは、腸壁を保護するだけでなく、強い抗炎症作用、オートファジーの促進、脳機能の調節、多くの動物で長寿を促すことが明らかになっています。
他にも、ポリフェノールもいいんだとか。
ポリフェノールは腸内細菌に栄養を与えたり、オートファジーのような有益なプロセスを促したりする植物化合物です。
腸壁を守れるように腸内細菌にポリアミンを与えつつ、ポリフェノールをたっぷりと摂取すると、相乗効果が期待できますね。
僕もほぼ毎日、朝食にブルーベリー・ラズベリー・ストロベリーを食べていて、ポリフェノールは積極的に摂取するようにしています。
腸でもオートファジーを引き起こす
オートファジーとは、細胞のリサイクルプログラムのことで、細胞の弱い部分や機能しない部分を取り除いて、細胞全体をより強くするプロセスのことです。
ファスティング(断食)によるカロリー制限は腸壁の健全性を向上させることにも役立つと言われておりますので、取り入れない手はないですよね。
ファスティングによって細胞に一時的なストレスを与えると、スイッチが作動し、体中の幹細胞が再生されます。
他にも、腸内の幹細胞を活性化するシグナルがあり、それがビタミンDになります。
ですので、ビタミンDも積極的に摂取していきたいですね。
ファスティングに関しては、次回簡単にまとめさせていただきますね。
【まとめ】
・腸の壁を強化してくれる物質としては、「酪酸」と「ポリアミン」
・プレバイオティクスをたくさん食べるほど細菌が酪酸を生成する
・ポリアミンは、腸壁を保護するだけでなく、強い抗炎症作用、オートファジーの促進、脳機能の調節、多くの動物で長寿を促す
・ポリフェノールは腸内細菌に栄養を与える+オートファジーを促す
・ファスティング(断食)によるカロリー制限は腸壁の健全性を向上させる
・腸内の幹細胞を活性化するシグナル;ビタミンD
【クイズ】
Q1:腸の壁を強化してくれる物質として誤っているものはどれか。
①酪酸 ②レクチン ③ポリアミン
Q2:ポリフェノールは腸内細菌から栄養を奪い去り、オートファジーのような有益なプロセスを抑制する植物化合物である。〇か×か。
Q3:腸内の幹細胞を活性化するシグナルとしてはたらくのは以下のうちどれか。
①ビタミンC ②ビタミンD ③ビタミンE
回答
Q1の正解:②
腸の壁を強化してくれる物質としては、「酪酸」と「ポリアミン」です
レクチンは前回でてきた腸管細胞の結合を引き裂く悪者でしたね
Q2の正解:×
ポリフェノールは腸内細菌に栄養を与えたり、オートファジーのような有益なプロセスを促したりする植物化合物です
Q3の正解:②
腸内の幹細胞を活性化するシグナルとして働くのはビタミンDでしたね
今回は、腸内細菌に優しくしておくといいことあるよ~ということを簡単にまとめてみました。
次回は、“ファスティング”に関してみていこうかと思います。
断食には多くの健康効果が報告されていますのでね。
次回もよろしくお願いします。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
【参考文献】
『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』満尾 正著
『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー著
スティーヴン・J・シンプソン著
『食事のせいで、死なないために』マイケル・グレガー/ジーン・ストーン著
『人生が変わる 神レシピ』メンタリストDaiGo/つっしー著
『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著
『EAT-最高の脳と身体をつくる食事の技術』ショーン・スティーブンソン著
『死ぬまで若々しく健康に生きる老けない食事』スティーブン・R・ガンドリー著
『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ著
『細胞が生き返る 奇跡の「脂」食革命』ジョセフ・マーコーラ著
『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム著
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