今回は、睡眠時における脳波に関してみていこうと思います。
≪脳波≫
脳波とは、ヒト・動物の脳が活動する際に発生する電気活動を、頭皮上、蝶形骨底、鼓膜、脳深部などに置いた電極で記録したものであり、1924年にドイツの精神科医であるハンス・ベルガーによって初めて記録されました。
脳波は、周波数Hzが高い順に、γ波(ガンマ波)、β波(ベータ波)、α波(アルファ波)、θ波(シータ波)、δ波(デルタ波)に分けることができます。
それぞれの脳波の特徴をみていきましょう。
γ波の特徴
;・意識と深い関わりがあり、知覚した感覚情報を統合するために必要
・瞑想しているときや、刺激のある環境にいるときに出現する
β波の特徴
;・警戒、集中している時に出現
・覚醒状態で、脳波の記録が開始されて間もない頃に出現しやすい
α波の特徴
;リラックスしている時や安静覚醒閉眼時に出現しやすい脳波(;開眼による抑制)
θ波の特徴
;深い瞑想状態やまどろみの状態に出現する脳波
δ波の特徴
;最も深い睡眠の段階で出現する
睡眠脳波
睡眠の際の脳波には各Stageが存在しており、以下のようになります。
- 覚醒期
- StageⅠ~Ⅳ:ノンレム睡眠
StageⅠ:入眠期
StageⅡ:軽睡眠期
StageⅢ:中等度睡眠期
StageⅣ:深睡眠期
※StageⅢとStageⅣを合わせて徐波睡眠と呼びます
;脳波を測定すると、非活動状態であることを示す「大きくて、徐行運転のようなゆっくりとした波形」が出現するので『徐波睡眠』とも呼ばれています
- レム睡眠期
※レム睡眠期の脳波は入眠期に似る
ノンレム睡眠の各Stageの睡眠脳波
ノンレム睡眠の睡眠脳波を細かくみていこうと思います。
覚醒時の脳波の役割が、外側の情報を受け取ることであるなら、ノンレム睡眠の脳波の役割は受け取った情報を吟味することとなります。
StageⅠ:入眠期
ノンレム睡眠のStageⅠ(入眠期)では、最初に安静覚醒閉眼時に出現していたα波が断片化します。
一般にこのα波の出現率が50%以下になった時点を入眠とするそうです。
ついで、さざ波のような波形のθ波が出現します。
StageⅡ:軽睡眠期
紡錘状に漸増漸減する特徴的な波形の睡眠紡錘波が出現します。
StageⅢ:中等度睡眠期 / StageⅣ:深睡眠期
ここではδ波が出現します。
δ波の出現率が20%以上50%以下であれば中等度睡眠、50%以上を占めるようになれば深睡眠と判定されます。
特徴的な脳波
特徴的な脳波をみていこうと思います。
[α-δ睡眠]
ノンレム睡眠が深くなるにつれて、次第に睡眠時δ波の出現量が増えてきます。
睡眠までの覚醒時間が長いほど、その後の睡眠脳波ではδ波の量が増加し、睡眠δ波は睡眠負債の指標となると言われています。
α波についてはレム睡眠の持続相に少量混在するのみで、基本的に徐波睡眠時には出現しません。
しかし、ある種の精神疾患、慢性疼痛性疾患、睡眠障害などで、睡眠時δ波にα波が重畳して出現することがあり、α-δ睡眠と呼ばれます。
身体的・生理的原因だけでなく、心理的な原因も含めて日中の過覚醒を原因とする病的な睡眠と考えられ、このような睡眠を長時間とってもリフレッシュされないと言われています。
[睡眠紡錘波]
睡眠紡錘波が出現している時期には抑制系の視床が活性化し、外部刺激に対する処理機能が低下していると考えられ、紡錘波は睡眠を維持する機能を反映します。
この睡眠紡錘波が、私たちが途中で覚醒することなく睡眠を維持できるように働いてくれています。
その他にも睡眠紡錘波にはありがたい機能があります。
まずは、睡眠紡錘波が多く発生することで、運動能力の発達が促されるとのこと。
また、睡眠紡錘波は、深い睡眠の間に新たに学習した情報を定着させるうえでも貢献してくれると。
長期記憶の構築には睡眠紡錘波が非常に重要だということですね。
【まとめ】
・脳波には、γ波、β波、α波、θ波、δ波がある
・α-δ睡眠
;・ある種の精神疾患、慢性疼痛性疾患、睡眠障害などで、睡眠時δ波にα波が重畳して出現することがある
・身体的・生理的原因だけでなく、心理的な原因も含めて日中の過覚醒を原因とする病的な睡眠と考えられ、このような睡眠を長時間とってもリフレッシュされない
・睡眠紡錘波の働き
;「睡眠の維持」「運動能力の発達」「長期記憶の構築」
【クイズ】
以下の「」に入るものは何か?
Q1:以下のうち、脳波ではないものはどれか?
①δ波 ②かめはめ波 ③θ波
Q2:ある種の神経疾患などがあると現れる睡眠は以下のうちどれか?
①α-β睡眠 ②α-γ睡眠 ③α-δ睡眠
Q3:以下のうち、睡眠紡錘波の働きはどれか?
①覚醒の維持 ②運動能力の発達 ③短期記憶の構築
回答
Q1の正解:②
脳波には、γ波、β波、α波、θ波、δ波がある
Q2の正解:③
ある種の精神疾患、慢性疼痛性疾患、睡眠障害などで、睡眠時δ波にα波が重畳して出現することがあり、α-δ睡眠と呼ばれる
Q3の正解:②
睡眠紡錘波の働き;「睡眠の維持」「運動能力の発達」「長期記憶の構築」
今日は脳波について記述してみました。
知識的なものが中心で、あまり実践的なものがなくてすいません。
また次回の記事でお会いしましょう。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
参考文献
『よく眠るための科学が教える10の秘密』リチャード・ワイズマン著
『スタンフォード式 最高の睡眠』西野 精治著
『賢者の睡眠 超速で脳の疲れを取る』メンタリストDaiGo著
『一流の睡眠』裴 英洙著
『睡眠こそ最強の解決策である』マシュー・ウォーカー著
『世界の最新論文と450年企業経営者による実践でついにわかった 最強の睡眠』西川 ユカコ著
『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』ショーン・スティーブンソン著
『最高の体調』鈴木 祐著
『ぐっすり眠る習慣』白濱 龍太郎著
『世界最高のスリープコーチが教える 究極の睡眠術』ニック・リトルヘイルズ著
『Sleep,Sleep,Sleep』クリスティアン・ベンディクト著 ミンナ・トゥーンベリエル著
『最高のリターンをもたらす超・睡眠術 30のアクションで眠りの質を高める』西野 精治著 木田 哲生著
『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』鈴木 祐著
『眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法』田中奏多著
『熟睡者』クリスティアン・ベンディクト著 ミンナ・トゥーンベリエル著
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