運動の効用-前半-

運動

今回は、『運動の効用』に関してみていきたいと思います。

運動をするとどんな健康効果があるのでしょうか。

≪運動の効用≫

運動が健康にもたらす効用としては以下のものが挙げられます

;・心血管系を強くする

 ・免疫系を強化する;がんの最も明らかな危険因子は、運動不足

・骨を強くする

 ・肥満を防ぐ

 ・ストレスの閾値を上げる

 ・社交的になれる

 ・集団的な喜びを得られる

 ・不安が軽減する

 ・困難を乗り越える力がつく

 ・脳機能の向上;ニューロンの可塑性を高める

 ・脳疲労を減らす

 ・記憶力up

 ・学力up

 ・創造力up

・集中力を高める

・意欲を高める

・人生の満足度が高まる

他にも数えきれないほど健康効果はありますが、これらメインどころからいくつか着目してみていきましょう。

≪社交的になれる≫

運動で人は社交的になれる!?

日々の生活に運動を加えると、人は社交的になるんだとか。

運動によって元気とやる気が出てくると、社会的つながりを作り、維持できるようになるみたいです。

運動をして汗をかくことで人付き合いにも自信がもてるようになるとは、驚くべき副次効果のようにも思えますが、実際にランナーズハイに関連する脳内化学物質の作用によって、人はつながりやすくなると言います。

この脳内化学物質というのは、内因性カンナビノイドになります。

この内因性カンナビノイドの血中濃度が高くなると、人と一緒にいることが楽しくなるだけでなく、交流の妨げとなる社交不安が緩和されます。

ランナーズハイに関連してもう一つ。

ジョギングなどの中強度の有酸素運動をしたあとで爽快な気分になるのは、痛みを鈍らせるエンドルフィンやエンドカンナビノイドのほかに、ANPが増えるからでもあるみたいです。

≪集団的な喜びを得られる≫

『協力し合う集団』が喜びの源

運動することで、集団的な喜びを得られると。

協力し合うことで、報酬をつかさどる脳の領域が活性化すると、ドーパミン、エンドルフィン、内因性カンナビノイドなど、高揚感をもたらす脳内化学物質がいっきに分泌されます。

共通の目的に向かって力を合わせることで、喜びや興奮を感じるということですね。

また、体をよく動かす人ほど、感じる喜びは大きくなると。

定期的な運動によって脳の構造は変化しますが、そのひとつとして内因性カンナビノイドの結合部位が増大するからだと言われています。

集団的自己は『パーソナルスペース』を広げる

グループで運動することで、他人と強い結びつきを生み出し、信頼感を芽生えさせます。

他人から信頼できると思われている人は、より寛大に、頼もしくふるまうようになるといいます。

それが信頼感の裏付けとなり、他人からますます信頼されるようになります。

うつにも『集団』が有利

うつと運動に関してですが、より効果を上げるには「集団」がいいと。

うつ病の予防には、ひとりでウォーキングをするのも効果的ですが、グループエクササイズのほうがさらに効果が高かったといいます。

孤立した状態ではコルチゾールがニューロン新生を抑えてしまいますが、社会とのかかわりがあるとストレスホルモンをつかさどるHPA軸の「反応は鈍くなり」、コルチゾールがニューロン新生を妨害できなくなるんだとか。

≪不安を軽減する≫

週3回×6週間の運動で、不安が軽減

運動を1回しただけでも、不安や抑うつ的反芻はただちに緩和されますが、その効果は定期的な運動によってさらに顕著になります。

なぜなら、新しい運動習慣によって脳の報酬系が活性化すると同時に、不安を制御する脳の領域も活性化するからと考えられています。

実際に、週3回の運動を6週間続けると、不安を軽減する脳の領域の神経結合が増えるという報告もあります。

定期的な運動によって神経系のデフォルト状態が調整されると、バランスがよくなり、闘争・逃走反応や恐怖反応が起こりにくくなるということですね。

また、筋肉から分泌された乳酸は、体内の血管をめぐって脳にたどり着き、神経系統に作用して不安を緩和したり、うつ病を予防したりする効果があるんだとか。

ではどの程度の運動がいいのでしょうか。

有酸素運動は不安障害のどんな症状も大幅に和らげると言われています。

不安による肉体的な興奮がある人は、激しい運動だけがこの感受性を和らげることがわかっているので、激しめの運動が良いでしょう。

≪逆境力がつく≫

『諦めなくなる』という副次効果

運動すると、逆境に負けない力が手に入るみたいです。

自然選択が人間に授けたのは、目標を追い求め、つらいときも諦めないための仕組みだと。

ランナーズハイは、私たちを大きな目標へ向かわせるための一時的な報酬にすぎないということですかね。

それこそが持久力がもたらす高揚感にともなう、もっとも持続的な副次効果であり、自分はつらいときも諦めずにがんばれる人間だ、と思えるようになる仕組みなのかもしれないですね。

困難を乗り越える3つの心理条件

ここで、ちょっと脱線になりますが、困難を乗り越えるための心理条件を。

人生において困難を粘り強く乗り越えるためにきわめて重要な心理状態には、3つの必要条件があると。

①明確な目標;希望が長続きするために必要な目的

②目標に到達するための道筋や方法;進歩するには、一歩一歩、着実に進んでいく必要がある

③自分にはそれをやり遂げる力があると固く信じること;自分には能力があり、必要なサポートを得ながら一歩ずつ進んでいける、と信じる必要がある

とのこと。

参考にしてみてください。

【まとめ】

・運動で「社交的になれる」

・内因性カンナビノイドの血中濃度が高くなると、人と一緒にいることが楽しくなるだけでなく、交流の妨げとなる社交不安が緩和される

・運動で「集団的な喜びを得られる」

・うつ病の予防には、ひとりでウォーキングをするよりも、グループエクササイズのほうがさらに効果が高い

・運動で「不安が軽減する」

・筋肉から分泌された乳酸は、不安を緩和したり、うつ病を予防したりする効果がある

・運動で「逆境力がつく」

【クイズ】

Q1:うつ病の予防には、単独の運動と集団的な運動、どちらが効果的か。

 ①単独の運動 ②集団的な運動 

Q2:不安を緩和したり、うつ病を予防したりする効果のある筋肉から分泌される物質はいかのうちどれか。

 ①酢酸 ②乳酸 ③蟻酸

Q3:運動が社交性を上げるのには内因性カンナビノイドが関与している。〇か×か。

回答

Q1の正解:②

 うつ病の予防には、ひとりでウォーキングをするのも効果的ですが、グループエクササイズのほうがさらに効果が高かったという報告がなされています

Q2の正解:②

 筋肉から分泌された乳酸は、体内の血管をめぐって脳にたどり着き、神経系統に作用して不安を緩和したり、うつ病を予防したりする効果をもちます

Q3の正解:〇

 その通りです

今回は、『運動の効用』の前半戦を紹介させていただきました。

次回は、『運動の効用』の後半戦です。

次回もよろしくお願いします。

『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』

【参考文献】

『最高のパフォーマンスを実現する超健康法』メンタリストDaiGo著

『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』鈴木 祐著

『スタンフォード式 人生を変える運動の科学』ケリー・マクゴニガル著

『脳を最大限に活かす究極の運動法』久賀谷 亮著

『運動脳』アンデシュ・ハンセン著

『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』ジョンJ・レイティ/エリック・ヘイガーマン著

『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』中野ジェームズ修一著

『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』鈴木 祐著

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