遺伝子による睡眠タイプ

睡眠

今回は、遺伝子による睡眠タイプに関してみていこうと思います。

≪体内時計≫

いきなりですが、みなさんは「体内時計」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。

厚生労働省の「生活習慣病予防のための健康情報サイト」によれば、体内時計とは、『概日リズム(サーカディアンリズム)を形成するための24時間周期のリズム信号を発信する機構』と書かれております。

なんだか難しい文言ですね。

生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。

私たち人間も、体内システム―睡眠と食事のパターン、ホルモン分泌、体温、注意力、気分、消化機能―を、地球の自転と同調しながら24時間周期で動かしていることがわかっています。

この基本的に管理された24時間の体内サイクルのことを『概日リズム(サーカディアンリズム)』と呼んでいます。

地球上に暮らす生物のうち、寿命が数日以上あるものは、すべて概日リズムを備えているみたいです。

我々人間では、この概日リズムの兆しが見えるのは、生後3ヶ月か4ヶ月経ってからと言われています。

概日リズムは、光や温度変化のない条件で安静を保った状態においても認められることから、生物には体内に時計機構を持っていることが明らかとなり、これを体内時計(生物時計)と呼んでいるのですね。

ただ、人の概日リズムの単位は、きっちり24時間ではなく、「だいたい」24時間の周期で刻まれており、正確には24時間より15分長いと言われています。

このズレの発生を抑制・解消し、体内時計を地球の自転周期と常にシンクロさせるためには、サーカディアンリズムを毎日“リセット”する必要があるんですね。

体内時計のズレを治すリセット方法として最も大事なのは、目に入る光の量を調節すること

視交叉上核は、人間の体に存在する多くの体内時計のうち唯一、光の信号を受け取り、中継することができるんだそう。

なので、このリズム調整を行うために、太陽の光の力を借りる必要があるんですね。

そう、太陽の光は、時計のネジを回して遅れを直す指のような役割を果たしてくれているんです。なんとまぁありがたい。

太陽光があるおかげで、人間の体内時計は、正確な24時間のリズムを刻むことができているんです。太陽様様です。

指揮者の働きをする視交叉上核

この体内時計なのですが、僕は体にひとつだけだと思っていたのですが、全身のあらゆる細胞に存在し、それぞれの細胞がリズムを刻んでいるんだそうです。

(僕と同じように体内時計はひとつだと思っていた人がいたら、心のなかでそっと手を挙げてくださると心強いです…)

ただ、それぞれの体内時計がバラバラにリズムを刻んでしまうといけないので、指揮者のような存在が必要になってくるわけですね。

その指揮者の役割を果たすのが、脳の視床下部の「視交叉上核」というもの。

この「視交叉上核」なのですが、数万個の神経細胞が集まっていて、体内時計として働き、人生のあらゆる瞬間を刻んでいます。

つまり、人間に備わった体内時計はひとつではなく、脳の視交叉上核にある“親時計”と、その他の臓器や末梢組織にある多数の“子時計”が存在しており、親時計は強いシグナルで全身の子時計を統率しているということになります。

≪クロノタイプ≫

次に、クロノタイプについてみていこうと思います。

そもそもクロノタイプとは、生まれつき備わっている体内時計のパターンのことを言います。

ある個人が1日の中でどの時間帯に最も活動的になるかを示した時間帯特性とも言えます。

人は生まれつき活動・睡眠パターンが決まっており、そのパターンに沿った生活をすることで高いパフォーマンスを出したり、快適な人生を送ることができるようになります。

人によってそのリズムに違いがあり、「朝型」「夜型」なんて言いますよね。

このクロノタイプは、主に遺伝子で決まると言われていて、「朝型」か「夜型」かは、50%程度遺伝で決まるんだそう。

クロノタイプは睡眠をはじめとする生活リズムから性格の違いによって、分類されるみたいです。

それぞれのタイプに適した睡眠タイミングを普段の生活に取り入れることで睡眠の質はもとより、生活全般の質が高まっていくと言われています。

ここで、睡眠医師のマイケルブレウス博士が4種類の動物でタイプ分けした動物クロノタイプを簡単にご紹介したいと思います。

(動物なので、すごい親しみやすい印象です。僕的には。)

4種類の動物は、「ライオン」「クマ」「オオカミ」「イルカ」となります。

それぞれの動物タイプの特徴を簡単にみていきましょう。

ライオン型:朝型で午前に調子が良い

クマ型:朝型で昼に最も力を発揮

オオカミ型:夜に本領発揮、朝弱い

イルカ型:不眠症&ショートスリーパー

となります。

このクロノタイプ診断はネットで簡単に数分でできますので、是非空き時間などに自分のタイプを調べてみるといいかもしれませんね。

(ここには書きませんでしたが、大まかな性格なども診断してくれますよ。)

また、クロノタイプは思考や行動に大きな影響を与えるとも言われています。

一般に朝型は内向的で論理的、人柄が信頼できる、夜型は外向的で情緒安定型で快楽的、創造力があると言われています。

クロノタイプと食習慣の関係

クロノタイプは食習慣ともつながりが深く、朝型は朝起きてから30分以内に朝食をとる傾向が強いのに対し、夜型は夜中に食べたがる傾向が強いんだそう。

そのため、夜中にたくさん食べる夜型は、朝型に比べて肥満になりやすいみたいです。

クロノタイプと学力の関係

クロノタイプは学力とも関係があるんだそう。

夜型の生徒にとって学校の始業時間は早すぎ、コンディションが良くない時間に授業やテストを受けねばならないという、なんとも悲しい現実が。

それにより、テストの結果なども悲しい現実が…。

“ショートスリーパー”は選ばれしもの?

よく睡眠時間が短いのに元気でいられる人っていますよね。

さっきの動物クロノタイプでいうと、「イルカ型」ですね。

巷では「ショートスリーパー」なんて言われ方をしていて、スーパーマンみたいなカッコいい印象がありますが、これは僕だけでしょうか。

僕は、最低でも7時間は睡眠時間がないと元気になれない人なので、いつも羨ましいなぁと思っています。

しかし、そんなスーパーマンも本当のところはほんの一握りの人に限られているんだとか。

「ADRB1」と「DEC2」という2つの遺伝子に非常に特徴的な変異が認められた人のみがスーパーマンになれるのですね。

なんとこの変異遺伝子を持つ人は10万人に4人しかいないんだそう。

10万人に4人という激レア変異遺伝子を引き当てた人が“本物”のショートスリーパーだそうで、それ以外の人は、どんなに努力をしてもショートスリーパーにはなれないんだとか。

僕も日々の雑多なことに追われていると、シュートスリーパーになれたらなぁと思うこともありましたが、この事実を知ってからは素直に7-8時間寝るようにしています。

【まとめ】

・あらゆる生物同様、われわれ人間にも体内時計は存在し、体内システムを、地球の自転と同調しながら24時間周期で動かしている

・24時間の体内サイクルである『概日リズム(サーカディアンリズム)』は、きっちり24時間ではなく、「だいたい」24時間の周期で刻まれており、正確には24時間より15分長い

 ➝このズレの発生を抑制・解消し、体内時計を地球の自転周期と常にシンクロさせるためには、サーカディアンリズムを毎日“リセット”する必要があり、そのために太陽の光の力を借りる必要がある

・人間に備わった体内時計はひとつではなく、脳の視交叉上核にある“親時計”と、その他の臓器や末梢組織にある多数の“子時計”が存在している

 ➝それぞれの体内時計がバラバラにリズムを刻んでしまうといけないので、視交叉上核が指揮者のような存在として君臨している

・クロノタイプとは、生まれつき備わっている体内時計のパターンのことで50%程度が遺伝子で決まっている

・それぞれのクロノタイプに適した睡眠タイミングを生活に取り入れることで睡眠の質だけでなく、生活全般の質が高まる

・クロノタイプは食習慣や学力とも関係している

・本物のショートスリーパーは特定の遺伝子変異を持った選ばれし人間

【クイズ】

Q1:体内時計はわれわれ人間だけにある特有なもの。〇か×か。

Q2:概日リズムの周期は以下のうちどれか?

 ①6時間 ②12時間 ③24時間

Q3:誰でも頑張ればショートスリーパーになれる。〇か×か。

回答

Q1の正解:×

 地球上に暮らす生物のうち、寿命が数日以上あるものは、すべて概日リズムを備えている

Q2の正解:③

 概日リズム(サーカディアンリズム)は、24時間の体内サイクルのこと

Q3の正解:×

 本物のショートスリーパーは特定の遺伝子変異を持った選ばれし人間のため、誰でもなれるわけではありません。残念!

今回は、遺伝子と睡眠タイプに関してみてきました。

自分の睡眠タイプに従って生きるのがいいみたいなので、是非自分のタイプを確認してみてくださいね。

『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』

参考文献

『よく眠るための科学が教える10の秘密』リチャード・ワイズマン著

『スタンフォード式 最高の睡眠』西野 精治著

『賢者の睡眠 超速で脳の疲れを取る』メンタリストDaiGo著

『一流の睡眠』裴 英洙著

『睡眠こそ最強の解決策である』マシュー・ウォーカー著

『世界の最新論文と450年企業経営者による実践でついにわかった 最強の睡眠』西川 ユカコ著

『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』ショーン・スティーブンソン著

『最高の体調』鈴木 祐著

『ぐっすり眠る習慣』白濱 龍太郎著

『世界最高のスリープコーチが教える 究極の睡眠術』ニック・リトルヘイルズ著

『Sleep,Sleep,Sleep』クリスティアン・ベンディクト著 ミンナ・トゥーンベリエル著

『最高のリターンをもたらす超・睡眠術 30のアクションで眠りの質を高める』西野 精治著 木田 哲生著

『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』鈴木 祐著

『眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法』田中奏多著

『熟睡者』クリスティアン・ベンディクト著 ミンナ・トゥーンベリエル著

厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」

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