今回は、年齢と睡眠の続きで、大人に着目してみていこうと思います。
高齢になると睡眠が阻害される
高齢になると、早寝早起きになると言いますよね。
それには、やはり理由があったみたいです。
ここで、高齢になるほど睡眠が阻害される理由をみていきましょう。
中年の睡眠を阻害する主な要因としては、以下のことが考えられます。
・睡眠の量と質が低下すること
・睡眠の効率が低下すること
・睡眠のタイミングが妨害されること
このように、高齢者が抱える睡眠の問題は大きく分けて3つに分けられるということみたいです。
他にも、寝る時間が早くなる、睡眠が細切れになるという2つの問題もあると。
これは、加齢によって概日リズムが変化すること、そして夜中にトイレに起きる回数が増えることで説明できるみたいです。
また、高齢者では、異なる睡眠ステージがランダムに現れることがよくあるみたいです。
つまり、入眠潜時(眠りに入るまでに要する時間)が長く、睡眠紡錘波の量が少なく、(とくに男性の場合)深い睡眠の時間が短く、夜の間に頻繁に目を覚ますのが一般的な傾向なんだとか。
先程もみましたが、加齢とともに早起きになる理由としては、以下のものも考えられるとのこと。
・日中の活動量の低下
・脳の老化;深いノンレム睡眠状態に入りにくくなるためメラトニンの分泌も減る
この加齢による朝型化の傾向は、男性でより強いという特徴もあるみたいです。
このように、加齢によって睡眠はどんどん阻害されてしまうんですね。
では、どんな感じで阻害されていくのか詳しくみていこうと思います。
睡眠の量と質の低下
まずは、『睡眠の量と質の低下』です。
高齢になることで、睡眠の量と質が低下する要因として、メラトニンが大いに関係しているとのこと。
年をとると、メラトニンの分泌が始まる時間と、ピークを迎える時間が早くなります。
また、年齢を重ねるとメラトニンが不足し、それだけで眠りにくくなってしまいます。
ここで、メラトニンの分泌に関してみていきましょう。
メラトニン分泌量のピークは、思春期に入る前の9-10歳くらいと言われています。
その分泌量は、20歳前後になるとピークの約半分、30歳前後では4分の1ほど、40代に入ると6分の1以下にまで減少するそうです。
それにより、40代半ばから終わりになると、10代のことに比べて、深い眠りが60-70%も減少し、70歳になるころには、80-90%も減少してしまうんだとか。
つまり、40歳を超えてからは、メラトニンの減少を補うこと、体内時計を調整しやすい生活リズムを心掛けることのふたつが、質の高い睡眠やスッキリした寝起きに欠かせないということになりますね。
もちろん質だけでなく、量も加齢によって減少すると。
成人してから加齢するにつれて、一晩の睡眠の量は徐々に減っていくんですね。
なんと、健康な人では20年ごとに30分ぐらいの割合で減少していくんだとか。
これには、加齢による脳の劣化が関与しているとのこと。
悲しいことに加齢による劣化がもっとも大きな部位が、不運にも深い睡眠が生まれる部位なんだと。
このおでこの真ん中あたりにあたる脳の部位の劣化が激しいほど、深いノンレム睡眠の喪失も大きくなってしまうんだとか。
しかも、年をとって深い睡眠の質が低下したことに、本人は気づいていないということもポイントですね。
しっかり認識できていれば、対応もできますからね。
その他にも、高齢者は深い眠りが少なくなることで、寝ている間に失われる記憶も増えるんだとか。
ということは、高齢になって認知力が低下したり、病気が増えたりするのは、睡眠の質の低下が大きな要因になっているとも考えられます。
つまり、認知症の症状を見せている高齢者は、睡眠が足りていない状態とも言えるわけですね。
認知機能の低下などが認められたら、まず睡眠の改善に取り組むのがいいのかもしれませんね。
睡眠の効率の低下
次は、『睡眠効率の低下』です。
睡眠効率とは、布団に入っている時間に対する睡眠時間の割合のこと。
「実際の睡眠時間÷ベッドにいた時間×100」(%)で求められます。
一般的に、理想的な睡眠効率は85%以上だと言われています。
しかし、高齢になるとこの睡眠効率が下がるんですね。
80代の高齢者の睡眠効率は、70-80%と言われています。
この睡眠効率が低くなるほど死亡率が高くなるとも言われています。
なので、睡眠効率にも注目して睡眠をとりたいものですね。
睡眠の細切れ
最後に『睡眠の細切れ』です。
加齢による睡眠の変化には、もう一つ大きな特徴があり、それが「睡眠が細切れ」になるということ。
年を取ると何回も起きてしまうとはいいますが、高齢になるにつれて、睡眠の取り方が「多相睡眠」へと移行するということなんですかね。
朝までぐっすり眠りたい自分としては、睡眠の細切れはかなりの苦痛になりそうです。
そういう意味でも、年は取りたくありませんね。
高齢者の睡眠負債改善方法
このままだと、問題点だけ明らかにしただけなので、メラトニンの分泌に注目した改善方法を明示したいと思います。
高齢者の睡眠負債を改善する方法としては、以下のものが考えられます。
・午前中に外で運動するときにサングラスをかける
・夕方近くに外に出て、サングラスをかけずに日光を浴びる
是非、やってみてくださいね。
【まとめ】
・高齢になるほど睡眠が阻害される要因
;・量と質の低下
・効率の低下
・タイミングの阻害
・高齢者の睡眠負債改善方法
;・午前中に外で運動するときにサングラスをかける
・夕方近くに外に出て、サングラスをかけずに日光を浴びる
【クイズ】
Q1:40代を過ぎたら睡眠の質を改善するために、するべきこととして誤りは?
①メラトニン補給 ②ベッド上での生活時間の増加 ③体内時計の調整
Q2:理想的な睡眠効率の割合は以下のうちどれか?
①75%以上 ②85%以上 ③95-100%
Q3:高齢者が睡眠負債を改善する時にサングラスを活用するといいが、その着用時期は?
①午前中 ②午後 ③夜
回答
Q1の正解:②
40歳を超えてからは、メラトニンの減少を補うこと、体内時計を調整しやすい生活リズムを心掛けることのふたつが、質の高い睡眠やスッキリした寝起きに欠かせない
ベッドでの生活時間が増えると、脳がベッドを、寝る場所ではなく生活する場所と誤認してしまう
Q2の正解:②
理想的な睡眠効率は85%以上
Q3の正解:①
午前中にサングラスをかけることでメラトニンの分泌の時期を調整する
今回は、年齢と睡眠の関連を大人に着目してみてきました。
多少実践できる知識もあるかと思いますので、是非試してみてくださいね。
『健康情報を手に入れて、今日も健やかに楽しく過ごしていきましょ~。ではまた。』
参考文献
『よく眠るための科学が教える10の秘密』リチャード・ワイズマン著
『スタンフォード式 最高の睡眠』西野 精治著
『賢者の睡眠 超速で脳の疲れを取る』メンタリストDaiGo著
『一流の睡眠』裴 英洙著
『睡眠こそ最強の解決策である』マシュー・ウォーカー著
『世界の最新論文と450年企業経営者による実践でついにわかった 最強の睡眠』西川 ユカコ著
『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』ショーン・スティーブンソン著
『最高の体調』鈴木 祐著
『ぐっすり眠る習慣』白濱 龍太郎著
『世界最高のスリープコーチが教える 究極の睡眠術』ニック・リトルヘイルズ著
『Sleep,Sleep,Sleep』クリスティアン・ベンディクト著 ミンナ・トゥーンベリエル著
『最高のリターンをもたらす超・睡眠術 30のアクションで眠りの質を高める』西野 精治著 木田 哲生著
『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』鈴木 祐著
『眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法』田中奏多著
『熟睡者』クリスティアン・ベンディクト著 ミンナ・トゥーンベリエル著
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